①『職人仕立ての革小物』p156-171
に詳細な「紳士用グローブ」の作り方が載っている。
ただし、[使う材料]には「クロム革、鹿革などがおすすめです。」と、書かれており、特にタンニンなめしの革はすすめられていなかった。
タンニンなめし革については、革細工(分類755.5)に関する資料の中で簡単に紹介されているものがいくらかあった。
②『皮革工芸』p34 に以下の記述があり。
「渋なめし(タンニンなめし)タン(Tan)は植物(植物なめし)、色はベージュ。百年ほど前までは世界のなめしの90%がこの方法でした。吸水性、可塑性に富んでいるいるので形がつけやすくのびが少なくて堅牢です。」
③『ヌメ革で作る手縫いのバッグ』p10-11 に以下の記述があり。
「ヌメ革について
(中略)タンニンは、紅茶にも含まれているように自然な物質です。
タンニンなめしは、樹木の成分を用いて皮をなめす方法で、とても古くからあるなめし方。
原始的であるが故に、とても手間のかかるなめし方でもあります。
この、タンニンなめしした牛革のことを広い意味ではヌメ革と言いますが(中略)
クロームなめしは、化学的に作られた薬剤でなめします。なめしの工程がタンニンなめしより少なく、工業的にできることから、商品として流通している革製品のほとんどは、クロームなめしの革に着色や表面加工をしたものです。
ヌメ革(タンロー)の特徴
丈夫で硬い革ですが、表面にキズがつきやすく、水分を吸いやすく、湿った状態では伸びやすい、酸化によって色が変わりやすいという性質があります。
逆に言うと、成形や加工がしやすく、使ううちになじんでやわらかくなり、つやが増し、飴色に変わっていく革本来の使い込む面白さのある革です。
(中略)
新しいヌメ革の銀面は、淡いベージュ色です。とても汚れやすく一度付着した汚れを取ることはむずかしいです。
(中略)
ヌメ革の銀面は、圧を加えるとかんたんにへこんでしまいます。爪を立てただけでも跡が残ります。
(中略)
ただし、製作中に手の汚れ等で汚くなってしまったとしても、しばらく使ううちにだんだん目立たなくなります。(後略)」
④『レザークラフト新しい革の造形』p12-18 「革の知識」になめし工程の記述があり。
「なめし工程の順序(植物タンニンなめし)
原皮→水づけ→毛を抜くための石灰づけ→石灰を抜く→一番薄い酸性の弱いタンニン液につける→少しづつ濃くする→一番濃い酸性の強いタンニン液につける→水洗い→漂泊する→油入れ→乾燥→伸ばし→ヌメ革の出来上がり。」
同書で特徴については下記の記述があった。
「吸水性が良い」「堅くて伸びが少ない」「可塑性が大きい」
「アルカリに弱い」「酸性度PH3-4」「水にぬれると熱に弱くなります。植物タンニンなめし革で50℃-70℃になりますと、革が焦げた状態になり、ぼろぼろになってしまいます。」
皮革工業(分類584)に関する資料にもタンニンなめしについて記載されているものがあった。
⑤『皮革用語辞典』p126-127
「しょくぶつタンニン 植物タンニン」「しょくぶつたんにんがわ しょくぶつたんにんかく」「しょくぶつタンニンなめし 植物タンニン鞣し」の項目で記述されていた。
また、タンニン革の「鉄染み」の特徴について以下の資料で記されていた。
⑤『皮革用語辞典』p176
「てつじみ 鉄染み Iron stain
植物タンニンと鉄の化学反応で、褐色~黒に発色する染み。植物タンニン革や合成タンニン革の一部でも生じる。鉄分や水中のイオンでも発生する。(後略)」
⑥『皮革製造学 』p40-41
「Ⅳ 鐵ジミ
(中略) タンニン革に於いては灰色から暗色を呈し、黒い斑痕は非常に強く現れて来る。斯る部分は特にタンニン鞣革に於いては往々にして脆く、且つ破壊されやすい。即ち屈折とか又は機械的加工を行った場合に破損しやすいのである。(後略)」
工場での詳細な製作の工程が、古い資料ではあるが100ページ以上に渡り下記に記述されていた。
⑥『皮革製造学 』p100-242 第2章 鞣製作業 タンニン編