レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018年04月08日
- 登録日時
- 2018/07/09 11:27
- 更新日時
- 2020/03/04 10:56
- 管理番号
- 京歴-407
- 質問
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解決
1590年、朝鮮通信使副使・金誠一(号:鶴峯)は、京都の「舟山」にのぼり、詩を作っている。詩は「二十八日。登舟山観倭国都。金鳳山前翠麓断。~」から始まる。この「舟山」は現在のどこにあたるか?
- 回答
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詩の冒頭にある金鳳山をキーワード「金鳳山 京都」でインターネットで調べると、かつて大徳寺内にあった寺院・天瑞寺(てんずいじ) の山号が金鳳山であり、天瑞寺の跡地には現在、龍翔寺があるという記述が見つかった(①)。
金鳳山・天瑞寺で『新修京都叢書』の索引を調べたところ、『新修京都叢書第9巻』(②)所収の『都林泉名勝図会』第1巻p.65の左上に「金鳳山天瑞寺」とあるのが確認できる。このページは、当館の資料・デジタル画像検索システム「京の記憶アーカイブ」の以下ページで画像を公開している(③,分冊番号:1,コマ番号:34)。
http://www.archives.kyoto.jp/websearchpe/detail?cls=152_old_books_catalog&pkey=0000000227#1-4
『紫野大徳寺』(④)の第7章 大徳寺塔頭のpp.117-120に竜翔寺・天瑞寺(廃)の項があり、竜翔寺が旧天瑞寺跡に伽藍を新築したことが書かれている。付録の大徳寺境内見取図には、竜翔寺(天瑞寺址)とあり。
京都市ホームページ「朝鮮通信使ゆかりの地を国内外に発信」の中で、大徳寺も紹介されており、大徳寺が朝鮮通信使に宿を提供したことが書かれている(⑤)。
http://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/page/0000074543.html
麓がその場所であるということから、「舟山」はその南西に位置する船岡山を指すと推測される。
船岡山が「舟山」と呼ばれていたかについて確認したが、以下の資料等からはそのような情報は見つけられなかった。『京都大事典』(⑥)、『京都市の地名』(⑦)、『角川日本地名大辞典 京都府上巻』(⑧)、『新修京都叢書 索引』(⑨)。
なお、『京都市の地名』(⑦)の船岡山の項には、古典文学等に取り上げられた例が掲載されている。その中には、「船岡」や「船岳」という表記もあり、比較的低い山を指す岡と山を重ねて使わない例もあると考えられる。
インターネットで「朝鮮通信使 舟山 舟岡山」を検索すると、Google bookで『朝鮮通信使と江戸時代の三都』のp.24に「金鶴峯らは舟山に登り倭国都を観る。すなわち大徳寺南辺の舟岡山である。」という記述があることが記載されている(⑩)。この『朝鮮通信使と江戸時代の三都』は当館では所蔵なし。
https://books.google.co.jp/books?id=yaNMAQAAIAAJ&q=%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E9%80%9A%E4%BF%A1%E4%BD%BF+%E3%80%80%E8%88%9F%E5%B1%B1%E3%80%80%E8%88%9F%E5%B2%A1%E5%B1%B1&dq=%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E9%80%9A%E4%BF%A1%E4%BD%BF+%E3%80%80%E8%88%9F%E5%B1%B1%E3%80%80%E8%88%9F%E5%B2%A1%E5%B1%B1&hl=ja&sa=X&ved=0ahUKEwjIi-2unoLcAhVKw7wKHTbQCAQQ6AEIJzAA
- 回答プロセス
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「金鳳山」についてインターネットで調べた。
天瑞寺について調べ、位置を確認した。
船岡山を舟山とも呼ぶことがあるかを調べた。
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本 (291)
- 参考資料
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① Wikipedia「天瑞寺 (京都市)」の項。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E7%91%9E%E5%AF%BA_(%E4%BA%AC%E9%83%BD%E5%B8%82)
(最終確認日:2018-07-03.) -
② 野間光辰 編 ; 臨川書店内新修京都叢書刊行会 編著. 新修京都叢書 第9巻. 臨川書店, 1968.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I052194315-00 , ISBN 465302605X (当館請求記号:K0||291.62||Sh69||9) -
③ 京の記憶アーカイブ 『都林泉名勝図会』掲載ページ
http://www.archives.kyoto.jp/websearchpe/detail/225034/1/34
(最終確認日:2018-07-03.) -
④ 佐藤虎雄 著. 紫野大徳寺. 河原書店, 1961. (茶道文庫 ; 第6)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001025783-00 (当館請求記号:K112||188.85||D28||) -
⑤ 京都市ホームページ「朝鮮通信使ゆかりの地を国内外に発信」
http://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/page/0000074543.html
(最終確認日:2018-07-03.) -
⑥ 佐和隆研 ほか編集. 京都大事典. 淡交社, 1984.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001713924-00 , ISBN 4473008851 (当館請求記号:K0||291.62||Ky6||) -
⑦ 京都市の地名. 平凡社, 1979. (日本歴史地名大系)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I065244816-00 (当館請求記号:K1||291.62||H51||) -
⑧ 「角川日本地名大辞典」編纂委員会. 京都府 上巻. 角川書店, 1982. (角川日本地名大辞典 ; 26)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I045456080-00 (当館請求記号:K0||291.62||Ka14||26-1) -
⑨ 野間 光辰. 索引. 臨川書店, 1976. (新修京都叢書)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I064946296-00 (当館請求記号:K0||291.62||Sh69||23) -
⑩ Google book『朝鮮通信使と江戸時代の三都』検索結果
https://books.google.co.jp/books?id=yaNMAQAAIAAJ&q=%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E9%80%9A%E4%BF%A1%E4%BD%BF+%E3%80%80%E8%88%9F%E5%B1%B1%E3%80%80%E8%88%9F%E5%B2%A1%E5%B1%B1&dq=%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E9%80%9A%E4%BF%A1%E4%BD%BF+%E3%80%80%E8%88%9F%E5%B1%B1%E3%80%80%E8%88%9F%E5%B2%A1%E5%B1%B1&hl=ja&sa=X&ved=0ahUKEwjIi-2unoLcAhVKw7wKHTbQCAQQ6AEIJzAA
(最終確認日:2018-07-03.)
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① Wikipedia「天瑞寺 (京都市)」の項。
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000238301