レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018年04月26日
- 登録日時
- 2018/07/06 17:14
- 更新日時
- 2018/07/11 13:24
- 管理番号
- 京歴-405
- 質問
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解決
京都市内の交差点名のルールが知りたい。南北の通り名と東西の通り名を組み合わて呼ぶが、「西大路四条」(南北の通りが先)だったり、「四条河原町」(東西の通りが先)だったりするのはなぜか?
- 回答
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『京都の不思議』(①)pp.61-63の「「四条河原町」と「河原町四条」は違う?」によると、バスの停留所名について京都市交通局にたずねたところ、基準があるわけではなく、市電時代の名称を引き継いでいるとの回答を得たことが書かれている。
日本経済新聞ホームページ「京都の交差点名に法則は?(謎解きクルーズ)」(②)で、解説が掲載されている。
・京都市土木管理課によると呼び慣れた地名を使うのが一般的とのこと。
・龍谷大学名誉教授・糸井通浩氏の解説も掲載している。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASIH11H09_R10C15A6AA1P00/
②の解説をしていた「糸井通浩」を当館の蔵書検索システムで検索すると『地名が語る京都の歴史』(③)があり。pp.352-353には「「縦通り」「横通り」の優先性」を掲載。
それによると、もともとは条坊制によって区画されたため、条を区切る東西の通りが優先された。しかし室町時代以降、有力な町が面する通りを優先するようになり、東西優先と南北優先が混じるようになっていったことが書かれている。どちらの通りを優先するかについては、行政的な条例もないようだ、としている。
③に引用されていた『近世京都の都市と社会』(④)pp.134-138の「近世京都の地点表記法」によると、③で紹介されていたルールに加え、近代以降に一部の通りが拡幅・幹線化され、拡幅された通りが既存の狭い通りに対して優位となったことや、市街電車の開通により停留所が設けられたことも、交差点名の決め方の要因となっているとしている。
※上記はすべて交差点の呼称についての記述であり、交差点から移動した位置については、その地点が面している通り名を先にする(④pp.134-136)。たとえば、東西の通りである三条通と、南北の通りである室町通の交差点付近の位置については、東西南北どの方向に移動しているかにより、4パターンの呼び分けが生じる。
・三条通沿いにあって、室町通から東(西)に進んだ地点を「三条通室町東入ル(西入ル)」
・室町通沿いにあって、三条通から北(南)に進んだ地点を「室町通三条上ル(下ル)」
と表記する。
後にくる通の「通」部分は省略し、「入ル」、「上ル」、「下ル」は、それぞれ「いる」、「あがる」、「さがる」と読む。
- 回答プロセス
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京都市の地誌の書架をブラウジングし、①を見つけた。
Googleで検索して②を見つけ、この記事で解説していた京都の地名に詳しい龍谷大学名誉教授・糸井通浩氏の③を調べた。
③で紹介されていた④を調べた。
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本 (291)
- 参考資料
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① 黒田正子 著. 京都の不思議. 光村推古書院, 2002.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000004221202-00 , ISBN 4838103093 (当館請求記号:K1||291.62||Ku72||) -
② 日本経済新聞「京都の交差点名に法則は?(謎解きクルーズ)」2015/6/20
https://www.nikkei.com/article/DGXLASIH11H09_R10C15A6AA1P00/
(最終確認日:2018-07-03.) -
③ 糸井通浩, 綱本逸雄 編. 地名が語る京都の歴史. 東京堂出版, 2016.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I027753880-00 , ISBN 9784490209563 (当館請求記号:K1||216.2||I91||) -
④ 杉森哲也 著. 近世京都の都市と社会. 東京大学出版会, 2008.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009568584-00 , ISBN 9784130201445 (当館請求記号:K1||216.205||Su38||)
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① 黒田正子 著. 京都の不思議. 光村推古書院, 2002.
- キーワード
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- 京都市の交差点名
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000238200