レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017年07月20日
- 登録日時
- 2017/09/18 14:57
- 更新日時
- 2018/10/28 12:50
- 管理番号
- 岩手-298
- 質問
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解決
気仙地方の婚姻習俗の「ドゲ」について調べたい。
- 回答
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嫁(婿)入りの行列を面白おかしく仮装した人々が出迎える気仙地方の婚礼時の風習。
現釜石市唐丹を含む旧気仙郡に残る。
道化、道迎、迎い道化など。
◆『陸前高田市史 第5巻 民俗編(上)』陸前高田市∥発行 1991年
p.625「第五章 人生の儀礼/第二節 婚姻習俗/三 嫁(婿)入りの儀礼/迎い道化」
“主として婿の友人や親類筋の者が、大勢で異様な服装・格好をして行列の中に飛び込む。興を添え、行列をいっそうにぎやかにするわけであるが、七、八人から一〇人くらい、多いときは二〇人ほどで、太鼓をたたき、鳴り鉦を鳴らしながら歌い、かつ躍るのである。”
◆『大船渡市史 第四巻 民俗編』大船渡市∥発行 1980年
p.299~300「第五章 誕生・婚姻・葬制/二節 婚姻/二 婚礼までの習慣/出発・途中の行事/③迎い道化」
“主に婿の友人達であるが、行列の途中(嫁の家が近くなったとき)に、「道迎え」と言って、異様な格好に仮装した者数名が出て、身振り手振りよろしく、面白おかしく出迎える。”
◆『三陸町史 第五巻 民俗編』三陸町史編集委員会∥発行 1988年
p.337~338「第五章 産育・婚姻・葬制/二節 婚姻/三、婚礼当日の儀礼/迎え道化」
“一行が婚家先へ到着すると、手伝いに来た人達が大勢で提灯を持って迎えるのが、かつての習わしであった。庭先では「道化」が行われる。道化は、婿の友人達が変装し、中間の宿で嫁の一行が来るのを待つ。十人から二十人位が揃うと、太鼓を叩き、鳴り金を鳴らしながら踊る。”
◆『住田町史 第六巻 民俗編』住田町∥発行 1994年
p.278~279「第五章 人生儀礼/第二節 婚姻/二 婚礼習俗/道化・樽投げ」
“嫁の行列がしだいに婚家に近づいてくると、行列を歓迎するかのように異様な変装・仮装をした一団が飛び込み、歌ったり踊ったりして歓迎する。行列一行をにぎやかにするよう興を添えるわけであるが、かつては主に婿の友人らがその主役であった。それがしだいに若衆ではなく、この「迎え道化」のことを知る老人たちが中心となり、いまではこれを目にする機会も少なくなった。”
◆『気仙郡唐丹村 郷土教育資料』岩手県教育会∥発行 1940年(マイクロフィッシュ)
「第九 婚姻の調査 2、婚礼と村の習慣 イ、嫁見」
“又、道化と称して仮装行列的のものが男女入り混じって御祝の意を表す。”
◆『岩手の民俗資料 民俗資料緊急調査報告 昭和38年』岩手県教育委員会∥発行 1966年
p.150「14 一生の儀礼/17 蛸の浦/〔婚姻〕」※大船渡市赤崎町
“嫁が婿方の家に到着するときは、庭さきで餅をつき、多数の道化が出て種々扮装する。”
p.152「14 一生の儀礼/19 双浜/〔婚姻〕」※大船渡市三陸町綾里
“婿方に到着したときは、手伝に来た人々が大勢で提灯をもって迎え、庭先で道化を行なう。”
p.154「14 一生の儀礼/21 山谷/〔婚姻〕」※釜石市唐丹町
“嫁家の門口ではカラウスをつくまねをし、また、赤いハチマキにこっけいな服装をした道化が出て、道化踊りをしながら花嫁行列の先頭に立つ。”
◆『孫に伝える地の森(富沢)郷土史』山崎悠∥編・発行 2003年
p.117「戦前の生活/(六) 婚礼の習慣」
“迎え、貰い方、近隣所より道化と云って派手な仮装したるもの数名お迎え、祝いのうたうたい乍ら嫁一行を迎え入れる風習で、その他の人は迎え入れる迎酒を振舞う旁嫁見をする。”
◆『気仙風土記 続』金野静一∥著 続・気仙風土記編集発行委員会∥発行 1976年
p.146~148「婚礼・出産・葬式 一」
“また、近所の若衆たちが、ミノ笠などで怪奇な扮装をし、カネ太鼓の囃子でこっけいな踊りを踊ります。これを「迎い道化(むかいどげ)」と言いますが(後略)”
◆『陸前・気仙の民俗 1』金野静一∥著 陸前・気仙の民俗編集発行委員会∥発行 1979年
p.72「第二 気仙地方の俗信/第三章 婚姻と俗信/二 嫁入儀礼に関するもの/イ 出発及び途中の行事/(3) 迎い道化(ムカイドゲと称す)」
“主に婿の友人たちであるが、行列の中に異様な格好をして飛び込む。そして興を添えるわけであるが、これらの道化は当日はもち論、前日あたりから親類縁故等と同等に位置にあって手伝うのである。近時は若者でなく、老人たちが主にこの役を担うようである。”
その後、『東海新報』に下記記事の掲載を確認。
◆『東海新報』2018年10月21日8面
「“道化”登場でにぎやかに 赤崎町での婚礼 ハイカラ衣装で花添える 大船渡」
(“花嫁道中をにぎやかに練り歩いた道化”の写真あり)
- 回答プロセス
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各市町村史の民俗編を確認
K385~ブラウジング
- 事前調査事項
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震災後のテレビドラマや大船渡市PR動画で紹介されているのを見て興味を持ったとのこと。
○大船渡市PR動画「ばばば結婚行進曲」(Youtube)
https://www.youtube.com/watch?v=StCeboWB58U
○さいとう製菓ホームページ「気仙・辺辺の四季 婚礼の道化師たち」
http://www.saitoseika.co.jp/adariHP/adariho8/adarihodori8.htm
※最終確認:2017年9月20日
- NDC
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- 通過儀礼.冠婚葬祭 (385)
- 参考資料
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陸前高田市史編集委員会 編 , 陸前高田市. 陸前高田市史 第5巻. 陸前高田市, 1991.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I036535424-00 (当館請求記号:K/251.2/リ4/1-5) -
大船渡市史編集委員会 編 , 大船渡市. 大船渡市史 第4巻. 大船渡市, 1980.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I036535036-00 (当館請求記号:K/251.1/オ2/4) -
三陸町史編集委員会 編 , 三陸町(岩手県). 三陸町史 第5巻. 三陸町史編集委員会, 1988.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I036178971-00 (当館請求記号:K/251.4/サ2/1-5) -
住田町. 住田町史 第6巻. 住田町, 1994.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I036178967-00 (当館請求記号:K/251.3/ス2/1-6) - 気仙郡唐丹村 郷土教育資料. 岩手県教育会, 1940. (マイクロフィッシュ)
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岩手県教育委員会 編 , 岩手県教育委員会. 岩手の民俗資料 : 民俗資料緊急調査報告 昭和38年. 岩手県教育委員会, 1966. (文化財調査報告 : 第16集)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I036205256-00 (当館請求記号:K/380/イ1/1) -
山崎悠 編. 孫に伝える地の森(富沢)郷土史 : 戦前編. 山崎悠, 2003.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I036198465-00 (当館請求記号:K/251.1/ヤマ/) -
金野静一 著 , 金野, 静一, 1924-. 気仙風土記 続. 続・気仙風土記編集発行委員会, 1976.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001860488-00 (当館請求記号:K/380/キン/2) -
金野 静一 著 , 金野‖静一. 陸前・気仙の民俗 1. 陸前・気仙の民俗編集発行委員会, 1979.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I036205270-00 (当館請求記号:K/380/キ1/2-1) -
東海新報社. 東海新報. 東海新報社.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000003-I000019813-00
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陸前高田市史編集委員会 編 , 陸前高田市. 陸前高田市史 第5巻. 陸前高田市, 1991.
- キーワード
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- 婚礼
- 嫁入り行列
- 道化
- 道迎
- 迎い道化
- 仮装
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000222048