ブラジルの宗教団体に関する法制度について日本語で書かれた資料には以下のものがありました。
・ 海外の宗教事情に関する調査報告書
文化庁 [編] ; 平成13年3月, 平成17年3月, 平成20年3月. -- 文化庁, 2001. [請求記号:AA/2/K1]
これによると、ブラジルで 「宗教団体に与えられる法的地位は私権上の法人」 であり、関連する法律として民法16条と、20条2号があげられています。
しかし、次の参考資料によると、ブラジルの民法は前述の資料の執筆後に改定されており (2002年1月、2003年1月11日発効)、関連する条文も現在では異なります。
・ アクセスガイド外国法 = Access guide for foreign laws 北村一郎編. -- 東京大学出版会, 2004 [請求記号:G/34/A1]
当館の所蔵資料では日本語で参照可能なブラジル民法がなかったため、以下、現地語の資料についてお知らせします。
まず、根拠となる民法は以下のリンク先で読めます (ポルトガル語)。
http://www.planalto.gov.br/ccivil_03/leis/2002/L10406.htm第44条において宗教法人が 「私権の法人」 の一種であること、第45条において私権の法人は 「行政」 に登録をすることで法的に存在が認められるようになること、そして第46条において登録する項目が定められています。
現行の民法の制定後に定められた2003年12月22日法 (No.10825) は、公権力によって登録等を妨げられることがないよう、宗教法人を特別に擁護することがねらいのようです (そのことが第44条第1項に明文化されています)。
認可するのは 「行政」 としか書かれておらず、またその定義もなかったため、別途調べてみたところ、通常は法人の登録は各自治体にいくつか存在する Cartório (登記所) で行うようです。
登録方法は登記所によってまちまちのようです。
なお、法人登録を認可するのがどこ (だれ) であるかについては、公的登録に関する法律 (以下リンク先) の第1条、第2条に書いてあります。
http://www.planalto.gov.br/ccivil_03/leis/L6015consolidado.htmなお、上述の 「アクセスガイド外国法」 によると、邦訳として、今井真治 「ブラジル新民法」 (1) 戸籍時報550号 (2002)、(2) - (7) 同552-554,560-561,563号 (2003) があげられていましたが、掲載誌 「戸籍時報」 を未所蔵のため内容は未確認です。
また、関連するレファレンス事例として次のものがあります。
<愛知芸術文化センター愛知県図書館>
質問 ブラジルの民法が2003年1月10日に大改正されたそうだ。新しい法律 「市民法典」 の日本語訳が見たい。特に離婚についての条文が見たい。
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000078676 <立命館大学図書館>
質問 2003年改正のブラジル民法の日本語訳が読みたい。
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000129807