レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016年6月29日
- 登録日時
- 2016/07/02 16:34
- 更新日時
- 2017/04/06 18:01
- 管理番号
- 長野市立長野-16-003
- 質問
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解決
仏教の掲げられている旗の赤・白・青など五色ある内の紫色の意味について知りたい
- 回答
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仏旗(ぶっき)といわれるもの。
色は青・黄・赤・白・黒そのうち青・黒の代わりに淡紅・樺・紫・緑などを含める場合など差異があるようです。(宗教によっては違う配色あり)
意味についてはインターネットなどで検索したところ、全日本仏教会や成田山新勝寺のホームページなどで、
黒(紫)→仏陀の袈裟の色。侮辱や迫害に怒りを抑えて耐え忍ぶ「忍辱(にんにく)」を表わす。
などとありました。
所蔵本では確認することができなかったので、お寺などに直接お尋ねになられることを薦めました。
- 回答プロセス
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旗を仏教では何という名称かをインターネットで検索→仏教・旗(色)→仏旗(ぶっき)もしくは五色旗
所蔵本にて仏教に関する本で「仏旗」「五色」などを探す。
『仏教故事名言辞典』
p181 「五色」
「青・黄・赤・白・黒を五色」
「1950年に制定された国際的仏旗は青・黄・赤・白・樺の五色旗である。」とあり
意味記載なし
『仏教法具図鑑』
→p66 五色幡(ごしきばん)とあり。
配色は同色を使用(青・黄・赤・白・黒の五正色) 色の意味についての記載なし
幡とは・・・幡の構造は幡頭・幡身・幡手・幡足からなっており、幡頭は三角形で舌を備えている。幡身は数坪に区切られた長方形で古くは4坪に分かれていたが、1坪のものなどもある。その側面左右に1本ずつの幡手が、下方には幡足が2本もしくは4本付けられている。幡は錦・綾などの裂地を材料とするが、金銅や紙、板などを用いて作った幡も存在する。
幡をはたとも読むようだが、質問者が旗か幡かどちらについて尋ねているのか詳しくはわからなかったが、ここからは仏旗について調べることにする。
『仏教用語辞典』
→p133 ごしき【五色】
「五正色(ごしょうじき)・五大色とも。青(しょう)・黄(おう)・赤(しゃく)・白(びゃく)・黒(こく)をいう。(中略)仏教徒のシンボルとしての仏旗も五色を基本とする。」とあり。
→p338 ぶっき【仏旗】
「一八八九年米人の仏教信者ヘンリー=オルコットの発案で制定。色は青・黄・赤・白・淡紅とするが、淡紅が紫になる場合もある。仏がこれらの光を発したと諸経典にあるのによる。」とあり。仏旗の色相の図あり。
色の意味についての記載なし。
『岩波仏教辞典』
→p328 五色 ごしき
「青・黄・赤・白・黒の5種の色をいう。(中略)五正色は五方の正色の意味で〈五間色〉(緋・紅・紫・緑・磂黄(くりげ))に対していう。五大色は五大説のもとに五色を考えるもの。特に密教において教義に関連づけて説かれ、五方の配当にも二説ある。」とあり。
色の意味についての記載なし。
インターネットにて「仏旗 色 意味」で検索したところ、以下のホームページが見つかる。
■大本山 成田山金剛王院神護新勝寺HP 五色幕・法衣
http://daihonnzann-naritasann.jimdo.com/%E9%9B%91%E5%AD%A6%E3%81%AE%E6%9D%9C/%E4%BA%94%E8%89%B2%E5%B9%95-%E6%B3%95%E8%A1%A3/ <最終確認2016年7月2日>
青(緑)=仏陀の頭髪の色。心乱れず穏やかな状態の禅定(ゼンジョウ)「定根」を表わす
黄=仏陀の体の色。豊かな姿で確固とした揺ぎ無い「金剛(コンゴウ)」を表わす
赤=仏陀の血液の色。人々を救済しようとする慈悲心が止むことのない「精進(ショウジン)」を表わす
白=仏陀の歯の色。さまざまな悪行や煩悩を浄める清浄(ショウジョウ)を表わす
黒(紫)=仏陀の袈裟の色。侮辱や迫害に怒りを抑えて耐え忍ぶ「忍辱(ニンニク)」を表わす。
■全日本仏教会 仏旗・法輪・三帰依文について
http://www.jbf.ne.jp/interest/symbols.html?searched=%E4%BB%8F%E6%97%97%E3%81%A3&advsearch=oneword&highlight=ajaxSearch_highlight+ajaxSearch_highlight1 <最終確認:2017年3月18日>
新勝寺のホームページと同じような色の意味の解説がある。(こちらでは色が樺。)
「仏陀がそのすぐれた力をはたらかせる時、仏陀の体から青、黄、赤、白、樺及び輝きの六色の光を放つと『小部経典』というお経の中の「無礙解道」の項に説かれていることからこれらの色が使われています。」
と記載があったが、『小部経典』が当館に所蔵がなかったので確認できず。
■中央仏教学院 通信教育 六金色(ろくこんじき)の旗(はた)
http://www.chubutsu-tsukyo.jp/topics/?p=842 <最終確認:2017年3月18日>
「「六金色旗」の六つの色とは、青・黄・赤・白・淡紅(橙)・五色混合で、その色の由来は諸説があるようですが、『真宗大辞典』(岡村周薩編)に齋藤聞精師の考証が記載されています」とあり。(こちらでは色が淡紅(橙))
『真宗大辞典 巻3』p2174 ろくこんじきのはた
読みすすめるに、六色は釈迦が涅槃のときに放った光明の色が由来ということであり、各色の説明まではなかった。
(「涅槃経巻一序品」の該当箇所は、当館所蔵『国訳大蔵経 経部 第8巻』国民文庫刊行会/編輯 第一書房 1975.01〈183コ8〉p90、879に掲載あり。)
ホームページに書かれているような、色の由来が書かれている資料を探してはみたが、見つけることができなかった。
・五色ではなく五元素=色の表記があった資料
『図説 曼荼羅大全』東洋書林 2002.09
p93.p128.p197
虚空・風・火・水・地 臍のチャクラの内の東(風/黒/尿)とあり 色の意味なし
『インド・チベット 曼荼羅の研究』法蔵館 1996.08
p117 色の意味なし 色=仏と方角などは記載あり
・陰陽五行との関わりがあることが記載された資料
『陰陽五行と日本の民俗』人文書院 1983.06 p133~p134
『五行循環』人文書院 1992.03 p281
『五行大義 上』明治書院 1998.01 p247-249
『日本史色彩事典』吉川弘文館 2012.05 付録p24
北・水・黒・冬・智など
- 事前調査事項
- NDC
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- 仏教 (180)
- 参考資料
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- 『仏教故事名言辞典』 須藤 隆仙 新人物往来社 1982.08 〈 R180ス〉 (p181)
- 『仏教法具図鑑』 有賀 要延/編著 国書刊行会 . 1993.09.〈R186ア〉 , ISBN 4-336-03511-3 (p57幡 p66五色幡)
- 『仏教用語辞典』須藤隆仙/著 新人物往来社 1993.04 <R180ス> (p133 ごしき【五色】 p338 ぶっき【仏旗】)
- 『岩波仏教辞典 第2版』中村 元/ほか編集 東京:岩波書店 2002.10 <R180イ> , ISBN 4-00-080205-4
- 『信州善光寺案内』 善光寺事務局/監修 しなのき書房 2009.04 〈N181シ〉 (御開帳の際に使用した色の記載あり)
- 『広説佛教語大辞典』 中村 元 東京書籍 2010.07 〈R180ナ〉 (p476(五色についてあり 意味記載なし))
- 『真宗大辞典 巻3』岡村 周薩/編纂 永田文昌堂 1972.11 <R188オ3> (p2174)
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大本山 成田山金剛王院神護新勝寺HP
http://daihonnzann-naritasann.jimdo.com/(最終確認 2016/7/2) (雑学の杜→五色幕・法衣) -
全日本仏教会 仏旗・法輪・三帰依文について
http://www.jbf.ne.jp/interest/symbols.html?searched=%E4%BB%8F%E6%97%97%E3%81%A3&advsearch=oneword&highlight=ajaxSearch_highlight+ajaxSearch_highlight1 <最終確認:2017年3月18日> -
中央仏教学院 通信教育 六金色(ろくこんじき)の旗(はた)
http://www.chubutsu-tsukyo.jp/topics/?p=842 <最終確認:2017年3月18日>
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000194332