レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014年5月19日
- 登録日時
- 2015/10/06 11:59
- 更新日時
- 2015/10/14 13:17
- 管理番号
- 島根子2014-05-001
- 質問
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解決
かしわ餅について由来や作り方など説明が載っている本が見たい。
島根県では餅を包む葉をサンキラと呼ぶことがあるが、カシワの葉とは違うのか、なぜその葉を使うのか理由が知りたい。
サンキラの葉の正式な名称も知りたい。
- 回答
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当館所蔵資料から以下のものを紹介。
◆かしわ餅について
【資料1】『日本の「食」とくらし 2 季節ごとに体験しよう』(学研)
p22-25 かしわ餅の包み方、餡の種類、作り方の記述あり。カシワの葉は古代は食器の代用だったと書かれている。
西日本ではサルトリイバラの葉で包む地域もある、との記述あり。
【資料2】『げんきがでるよかしわもち』(教育画劇)
柏の葉を使ってかしわ餅を作るようになった由来を創作ストーリーで説明している。
柏は新しい葉が出るまで葉が落ちないので、縁起を担いだと解説あり。
【資料3】『発見!体験!日本の食事 6 もち』(ポプラ社)
p24-25 「端午の節句にかしわもちを食べるのはなぜ?」
古代中国の行事と、平安時代から江戸時代にかけての「端午の節句」について解説あり。
江戸時代のかしわ餅は武士のカブトの形を真似たとある。
西日本はカシワが少ないので、サルトリイバラの葉を使う。
地域によってサンキライ、イバラ、カタラなど呼び名が違い、餅の名前も変わる、と書かれている。
【資料4】『おくむらあやおふるさとの伝承料理 9 ウキウキ甘辛おやつ』(農文協)
p18 「素材いろいろ 米・そば・いもや変わりまんじゅう」
端午の節句は"ちまき"が定番で、かしわ餅が加わったのは江戸時代、寛文年間とある。
カシワの葉は新芽が出るまで古い葉が落ちないので、家系が絶えないという縁起を担いだ。
島根ではサルトリイバラで包む、と書かれている。
【資料5】『かこさとしこどもの行事しぜんと生活 5月のまき』(小峰書店)
p4-5 「端午の節句」
中国の楚の屈原の古事から、この時期に草の葉に包んだもちやだんごをかざるようになったと記述あり。
かしわ餅のカシワは新しい葉が出るまで古い葉が落ちないことから子孫繁栄の願いがこめられていると記述あり。
ホオの葉で包んだ"ほおばもち"、サルトリイバラの葉で包んだ"いばらだんご"の記載あり。
【資料17】『5月のえほん』(PHP研究所)
p14-15 「端午の節句の食べもの」
カシワは新しい芽が出るまで古い葉が落ちないため、子孫繁栄の願いをこめてかしわ餅を食べる、とある。
ちまきは中国から伝わったが、かしわ餅は日本で生まれた。作り方の記述あり。
【資料6】『食の民俗事典』(柊風舎)
p376-377 「葉包みの食物」
かしわ餅に関する記述あり。柏の葉に次いで多く用いられるのが朴の葉で、サルトリイバラの葉も使われる。
すべて「かしわ餅」と呼ばれるとある。
【資料7】『もち 糯・餅』(法政大学出版局)
p264-265 柏餅について記述あり。柏が少ない西日本では"山帰来"か、それに似たサルトリイバラの葉を用いる、とある。
サルトリイバラは地方により名称が違うので、その名をつけた「さんきら餅」「さんげら餅」などがある。島根、広島では「かたら餅」という名称が使われる、と書かれている。
【資料8】『日本の「行事」と「食」のしきたり』(青春出版社)
p90-94 端午の節句と柏餅の由来、柏の葉を使う理由についての記述あり。柏餅で端午の節句を祝うのは関東圏で、関西圏では柏餅はみられなかった、と書かれている。
【資料16】『たべもの語源辞典』(東京堂出版)
p33 柏餅の起源と柏の葉を使う由来について書かれている。カシワの葉の代わりにサルトリイバラ(山帰来)の葉を用いたりする、とある。
◆カシワとサルトリイバラの葉について
【資料9】『木の名前 由来がわかる,由来がわかる花木・庭木・街路樹445種』(日東書院)
p58 「カシワ」
カシキハ(炊葉)で、古代、飯を炊ぎ盛るのに多く用いられたことによる。柏餅に用いられる、とある。
冬に落葉せず春の発芽時まで葉が枝に残るため、めでたい樹として植える地方もある、と書かれている。
p106 「サルトリイバラ」
別名"サルトリ""サンキライ"。"猿取り""山帰来"による、と記述あり。
若葉はゆでて食用になる。根茎はサポニンを含み、中国産の"山帰来"の代用になる、と書かれている。
【資料10】『葉っぱでおぼえる樹木 原寸図鑑』(柏書房)
p318 「サルトリイバラ」 原寸大の写真あり。
【資料11】『葉っぱ・花・樹皮でわかる樹木図鑑』(池田書店)
p248 「サルトリイバラ」 葉の写真あり。"関西地方以西では葉を団子を包むときに利用する"とある。
【資料12】『里山の花木ハンドブック』(NHK出版)
p21 「サルトリイバラ」 西日本の「かしわ餅」はカシワでなくこの葉で巻くのが王道、「いばら餅」とも、とある。
◆サルトリイバラの別名について
【資料13】『全国有用植物地方名検索辞典 南日本編』(生物情報社)
p278-279 「サルトリイバラ/島根県」 カシワ、カタラ、サンキラ、サンキライなどの記載あり。
【資料14】『全国方言集覧 第6期 中国/四国編 (下)』(生物情報社)
p912-914 「島根県 サルトリイバラ」 カシワ、カタラ、サンキラ、サンキライなどの記載あり。
《参考 サルトリイバラの薬効について》
【資料15】『薬になる植物図鑑 自分で採れる』(柏書房)
p37 「サルトリイバラ」
別名「サンキライ」。西日本ではカシワの葉の代わりにサルトリイバラの葉で餅を包んだ、とある。
根茎はステロイドサポニンやフラボノイド多糖体を含み、腫れ物、利尿、むくみなどに薬効がある。
※ 「カシワ」は記載なし。
- 回答プロセス
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(1) NDC分類「383」の資料で、「端午の節句」に関する記述を調査。
(2) NDC分類「653」の資料で、サルトリイバラの葉と別名に関する記述を調査。
(3) NDC分類「818」の方言に関する辞典でサルトリイバラを調査。
(4) NDC分類「499」の資料でカシワとサルトリイバラの薬効について調査。
- 事前調査事項
- NDC
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- 衣食住の習俗 (383 8版)
- 方言.訛語 (818 8版)
- 森林立地.造林 (653 8版)
- 参考資料
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【資料1】竹内由紀子 監修 , 竹内, 由紀子. 季節ごとに体験しよう : おせち、かしわもち、おはぎ. 学習研究社, 2003. (日本の「食」とくらし ; 2)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000004245574-00 , ISBN 4052017730 (p22-25 当館請求記号 子380/ニ/2) -
【資料2】山本省三 作・画 , 山本, 省三, 1952-. げんきがでるよかしわもち こどもの日. 教育画劇, 2000. (教育画劇のかみしばい. 行事たべものの由来紙芝居)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002924550-00 , ISBN 477460173X (当館請求記号 子Kヤ02) -
【資料3】次山 信男/監修 , 次山‖信男. 発見!体験!日本の食事 6. ポプラ社, 2002.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I000333904-00 , ISBN 4591071197 (p24-25 当館請求記号子380/ハ/6) -
【資料4】奥村 彪生/文 , 奥村‖彪生 , 野村‖俊夫. おくむらあやおふるさとの伝承料理 9. 農山漁村文化協会, 2006.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I000405782-00 , ISBN 454006097X (p18 当館請求記号 子380/オ/9) -
【資料5】かこさとし 文・絵 , 加古, 里子, 1926-. かこさとしこどもの行事しぜんと生活 5月のまき. 小峰書店, 2012.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I023533833-00 , ISBN 9784338268059 (p4-5 当館請求記号 子386/カ/5) -
【資料6】野本寛一 編 , 野本, 寛一, 1937-. 食の民俗事典. 柊風舎, 2011.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000011250326-00 , ISBN 9784903530512 (p376-377 当館請求記号 R383.8/ノ11 ※貸出禁止資料) -
【資料7】渡部忠世, 深澤小百合 著 , 渡部, 忠世, 1924- , 深澤, 小百合. もち : 糯・餅. 法政大学出版局, 1998. (ものと人間の文化史 ; 89)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002746618-00 , ISBN 4588208918 (p264-265 当館請求記号 383.8/ワ98) -
【資料8】新谷尚紀 監修 , 新谷, 尚紀, 1948-. 日本の「行事」と「食」のしきたり. 青春出版社, 2004. (プレイブックスインテリジェンス = Play books intelligence)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007547135-00 , ISBN 4413041062 (p90-94 当館請求記号 383.8/ニ04) -
【資料9】岡部誠 著 , 岡部, 誠, 1938-. 木の名前 : 由来がわかる花木・庭木・街路樹445種. 日東書院, 2003.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000004214320-00 , ISBN 4528016419 (p106 当館請求記号 R653.2/オ03 ※貸出禁止資料) -
【資料10】濱野周泰 監修 , 浜野, 周泰, 1953-. 葉っぱでおぼえる樹木 : 原寸図鑑. 柏書房, 2005.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007931540-00 , ISBN 4760127801 (p318 当館請求記号 653.2/ハ05) -
【資料11】池田書店編集部 編 , 池田書店. 葉っぱ・花・樹皮でわかる樹木図鑑. 池田書店, 2007.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009201049-00 , ISBN 9784262136165 (p248 当館請求記号 653.2/ハ07) -
【資料12】多田多恵子 著 , 多田, 多恵子. 里山の花木ハンドブック : 四季を彩る華やかな木々たち. NHK出版, 2014.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I025377399-00 , ISBN 9784140402689 (p21 当館請求記号 653.2/タ14) -
【資料13】白井祥平/監修 , 太平洋資源開発研究所/編. 全国有用植物地方名検索辞典 : 有用植物標準和名→地方名検索 有用植物地方名→標準和名検索 南日本編. 生物情報社, 2008.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I000942073-00 (p278-279 当館請求記号 R818/ゼ/3 ※貸出禁止資料) -
【資料14】白井祥平/監修 , 太平洋資源開発研究所/編 , 白井祥平 , 太平洋資源開発研究所. 全国方言集覧 : 動植物標準和名→方言名検索大辞典 第6期〔下〕. 太平洋資源開発研究所, 2004.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I031805576-00 (p912-914 当館請求記号 R818/タ/6-2 ※貸出禁止資料) -
【資料15】増田 和夫/監修 , 増田‖和夫. 薬になる植物図鑑 : 自分で採れる. 柏書房, 2006.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I000410026-00 , ISBN 4760129979 (p37 当館請求記号 R499.8/ク06 ※貸出禁止資料) -
【資料16】清水桂一 編 , 清水, 桂一, 1907-1980. たべもの語源辞典 新訂版. 東京堂出版, 2012.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I023938867-00 , ISBN 9784490108224 (p33 当館請求記号 R383.8/シ12 ※貸出禁止資料) -
【資料17】長谷川康男 監修 , 長谷川, 康男, 1949-. 5月のえほん : 季節を知る・遊ぶ・感じる. PHP研究所, 2011.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000011151581-00 , ISBN 9784569781266 (p14-15 当館請求記号 子386/ゴ11)
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【資料1】竹内由紀子 監修 , 竹内, 由紀子. 季節ごとに体験しよう : おせち、かしわもち、おはぎ. 学習研究社, 2003. (日本の「食」とくらし ; 2)
- キーワード
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- かしわ餅
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- サルトリイバラ
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- 山帰来
- 猿取り
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000182136