レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015/7/18
- 登録日時
- 2015/08/20 00:30
- 更新日時
- 2015/08/21 08:43
- 管理番号
- B150629111407
- 質問
-
解決
桜の最新の品種数が記載されている資料があれば紹介してください。
- 回答
-
当館所蔵資料等を調査したところ、「事前調査事項」に掲載されている資料及びインターネット情報源よりも、桜の品種数について新しい情報が記載されていると思われる資料(1)が見つかりましたのでご紹介します。(【 】内は当館請求記号です。)
(1)
『桜の新しい系統保全 : 形質・遺伝子・病害研究に基づく取組』(森林総合研究所多摩森林科学園 編 森林総合研究所多摩森林科学園 2013.2 【Y111-L159】)
p.5に「サクラの基礎知識」という項目があり、次の記載があります。
「(2)サクラの属名
生物学では、種の名前を二名法という属名と種小名を組み合わせた学名で表記します。この冊子でも種や栽培品種は学名も併記しています。ところで、サクラに対する学名の属名はPrunus を用いる場合がこれまで大多数でした。しかし近年ではCerasus が用いられることも増えています。もともとPrunus とはスモモ(英語だとPrune)のことですので、サクラをPrunus 属とする場合、スモモやモモ、ウメ、ウワミズザクラなども含んだ大きなグループとなり、世界では400 種を超えます。一方、Cerasus 属はセイヨウミザクラやヤマザクラなどだけしか含みません。こうした分類方法の見解の違いに正解はないので、サクラに対してどちらを使っても間違いではありません。この冊子ではサクラに対する学名はCerasus 属を用いています。
(3)栽培品種
サクラの分類を難解にする最大の要素は栽培品種です。生物学種は客観性をもつ分類体系ですが、栽培品種(cultivar)は人にとって有用な植物を利用する際に用いる単位であり、人がその価値に基づいて分類する全く異なる分類体系です。花を観賞するサクラであれば花の色や花弁数など花の形態によって分類されますので、親と子が同じ栽培品種とならないこともあります。このため多くのサクラの栽培品種は接ぎ木で増殖され、ひとつのクローンがひとつの栽培品種となります。原理的には無数に生まれますが、人が見て区別できる必要があり、実際に流通しているサクラの栽培品種は100 ぐらいです。(後略)」
資料(1)は、森林総合研究所(https://www.ffpri.affrc.go.jp/)のホーム>研究紹介>刊行物>第3期 中期計画成果>桜の新しい系統保全 ―形質・遺伝子・病害研究に基づく取組―研究紹介(http://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/chukiseika/3rd-chuukiseika5.html)のページで、電子版(http://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/chukiseika/documents/3rd-chuukiseika5.pdf)を閲覧できます。
[その他調査済み資料及びデータベース]
(桜の品種数に関する記述が掲載されていた資料)
・『桜の話題事典』(大貫茂 編著 東京堂出版 2010.3 【RA347-J38】)
※「桜の品種一覧」(pp.25-36)に約370種の品種名、花色、花の大小などについての記載があります。また、「桜の別名調べ」(pp.36-37)には「桜の品種名は重複している場合が多い。そのおもな品種名を上げる。」とあり、34種の品種名が記載されています。
・『桜の雑学事典 : おもしろくてためになる』(井筒清次 著 日本実業出版社 2007.3 【RA347-H66】)
※「サクラの分類」(p.12)に「自然的な交配や人為的交配により作られた栽培品種が二五〇種とも三〇〇種ともいわれるほどあります」の記載があります。
・『図説花と樹の事典』(木村陽二郎 監修 ; 植物文化研究会, 雅麗 編 柏書房 2005.5 【RA2-H47】)
※「サクラ[桜]」(p.189)に「サトザクラの園芸品種は二〇〇~三〇〇ほどにもなる。」の記載があります。
・『オックスフォード植物学辞典』(駒嶺穆 監訳 ; Michael Allaby 編 朝倉書店 2004.10 【RA2-H33】)
※「サクラ属 Prunus(プラム, チェリー; *バラ科)」(p.164)に「約400種が北半球の温帯に分布するが, 数種はアンデスとアジアの熱帯に自生する。」の記載があります。
・『日本のサクラ : 20世紀の研究成果』(日本さくらの会 編 日本さくらの会 2000.3 【RA347-G50】)
※「1. サクラの種類」(p.2)に「日本のサクラ亜属植物には, 野生のものが10種類ほどあり、さらにこれらを基本にして、里桜を含む園芸品種や自然交雑種などが約200~300程度あるとされている。」の記載があります。
・『さくら品種特性一覧』(改訂版 埼玉県花植木センター [1999] 【RB197-G63】)
※「はじめに」に「さくらの品種は、現在350から400と言われており、全国各地で品種収集、保存が行われております。(中略)今回、新たに129品種を追録し、347品種の特徴が一目でわかる「さくら品種特性一覧」を作成しました。」の記載があります。
・『園芸植物図譜』(浅山英一 著 ; 太田洋愛, 二口善雄 画 平凡社, 1986.3 【RB2-167】)
※「さくら」(pp.266-269)に「江戸時代には庶民の花見行楽が盛んとなり、また園芸品種が盛んに作り出され、300種以上に達したらしいが、明治維新のころに散逸したものが多い。明治に入ってソメイヨシノが全国的に広がった。」の記載があります。
(桜の品種数に関する記述が見当たらなかった資料)
・『植物分類表』(大場秀章 編著 アボック社 2010.4(第2刷) 【RA241-J10】)
・『日本の桜』(勝木俊雄 著 増補改訂版 学習研究社 2009.3 【RA5-J17】)
・『植物レファレンス事典. 2(2003-2008 補遺)』(日外アソシエーツ編集部 編 日外アソシエーツ ; 2009.1 【RA2-J17】)
・『新日本の桜』(木原浩 写真 ; 大場秀章, 川崎哲也, 田中秀明 解説 山と溪谷社 2007.3 【RA347-H64】)
・『世界有用植物事典 = Useful plants of the world』(堀田満, 緒方健, 新田あや, 星川清親, 柳宗民, 山崎耕宇 編 オンデマンド版 平凡社 2002.8 【RA2-J54】)
・『樹に咲く花. 離弁花 1』( 茂木透 写真 ; 高橋秀男 勝山輝男 監修 山と渓谷社, 2000.4 【RA5-G86】)
・『木の大百科 解説編』(平井信二 著 朝倉書店, 1996.11 【RB321-G26】)
・『園芸植物大事典』(青葉高 [ほか]編 小学館 1994.4 【RB2-E93】)
・『新日本植物誌 顕花篇』(大井次三郎 著 ; 北川政夫 改訂 至文堂 1983.4 【RA255-252】)
・『A-Z園芸植物百科事典』(英国王立園芸協会 監修 ; クリストファー・ブリッケル 編集責任 ; 横井政人 監訳 誠文堂新光社, 2003.6 【RB2-H13】)
・NDL-OPAC (https://ndlopac.ndl.go.jp/)
・CiNii Articles(http://ci.nii.ac.jp/)
・J-GLOBAL(http://jglobal.jst.go.jp/)
・森林総合研究所(https://www.ffpri.affrc.go.jp/)
インターネット及びデータベースの最終アクセス日は2015年7月11日です。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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・『図説花と樹の大事典』(植物文化研究会, 雅麗 編 柏書房 1996.2)
p.189に「園芸品種は200~300」との記述がありました。
・『サクラ』(船越亮二 著 NHK出版 2011.1)
p.10に「栽培品種は300種類以上」との記述がありました。
・「公益財団法人 日本さくらの会」(http://www.sakuranokai.or.jp)
「さくらの基礎知識」という項目に、「変種をあわせると100以上のサクラが自生し(中略)これらから育成された園芸品種は200以上もあります。」との記述があり、合計すれば300種以上の桜が存在していると思われます。
・「公益財団法人 日本花の会」(http://www.hananokai.or.jp)
「桜図鑑」という項目に「380種の桜の情報をお楽しみください。」との記述があります。該当ページの更新日は不明ですが、おそらく現在400に近い桜の品種が存在していると思われます。
- NDC
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- 被子植物 (479 9版)
- 花卉園芸[草花] (627 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 桜
- 品種
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000178647