レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015/02/01
- 登録日時
- 2015/02/09 00:30
- 更新日時
- 2015/03/11 11:05
- 管理番号
- 6000020382
- 質問
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解決
雲の隙間から太陽の光がさす「天使の梯子」と呼ばれる現象があるが、いちどに数箇所から光がさしてくるときにそれぞれ角度が異なって見えるのはなぜかわかる本はあるか。太陽までの距離は非常に大きいので、本来なら平行に見えるのではないかと思っているが、そうはならない理由を知りたい。
- 回答
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「天使の梯子」とは、「光芒(こうぼう)」「薄明光線(はくめいこうせん)」とも呼ばれ、太陽光が厚い雲の隙間から漏れて筋のように広がって伸びて見える現象のこと。
『空の色と光の図鑑』『日本列島驚異の自然現象』などに、遠方から届く太陽光線は平行線になっているが、遠近効果のために放射状に見える、との記載があり。
- 回答プロセス
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気象(451)の書架を探す。
『空の名前』(光琳社出版)p129「天使の梯子(てんしのはしご)」およびp130-131に写真があり。雲の切れ間から斜めにさす光の角度はそれぞれに異なっているように見える。ヨーロッパではこれを「天使の梯子」「ヤコブの梯子」などと言うとの記載はあるが、気象状況等の解説は載っていない。
GoogleBooksやWebcatPlusで「天使の梯子」を検索し、ヒットした資料を取り寄せて内容を確認する。
『雲のカタログ 空がわかる全種分類図鑑』(草思社)p124-125「光芒・薄明光線」に、詳しい記載があり。輪郭のはっきりした厚みのある塊状の雲の隙間から光が漏れ、その光の筋が明るく広がって見える現象とのこと。「天使のはしご」「天使の階段」とも呼ばれ、関係する雲は主に積乱雲・高積雲・層積雲・積雲、成因は大気中の微小粒子によるとあり。広がって見える理由について明確に記載はないが、頭上を越えて大きく伸び太陽と反対側の地平線へ収束する場合の呼び名「反薄明光線(はんはくめいこうせん)」の解説に、収束するように見えるのは薄明光線と同じく遠近法の効果によるもので、いわば観測者の錯覚との記載があり。なお、一般に薄明光線・反薄明光線をまとめて「光芒」と呼ぶとのこと。
『日本列島 驚異の自然現象』(昭文社)p188-192「神秘的な『光芒』現象」には、上記のほか、ヨーロッパでは「太陽が水をくんでいる」と表現したり、日本では「後光(ごこう)」と呼ぶことがあるとの記載があり。光が筋になって見えるのは、雲の切れ間から差し込んだ光が大気中の塵・水滴により乱反射して光の通り道が浮かび上がるため、光が放射状に見えるのは遠近法の効果によるもので、遠くであるほど幅が狭く、近づくほど広く見えるとの記載があり。
『空の色と光の図鑑』p43「光芒(放射状の光線)」にも、太陽はほぼ無限に遠い位置にあるため地球に到達した太陽光線は平行線になっているが、その光線が遠近効果のために放射状に見える、との記載があり。
このほか、『最新 天気がよーくわかる本』(秀和システム)p117-120「『光の筋』と『影の筋』 大気のチンダル現象」には、光芒の形状ごとの名称(入日の御光、天女の帯、天割れ、風根【カザニ】など)や、光芒が見えるのは空気中にまんべんなくちらばった微粒子により光の筋が見えるようになる「チンダル現象」によるものであることの解説があり。
『世界一美しい自然現象図鑑』(双葉社)p50-53「天使のはしご(薄明光線)」にも、薄明光線の発生条件やチンダル現象の解説があり。なお宮沢賢治はこれを「光のパイプオルガン」に例え、レンブラントもこの現象を好んで絵に描いたとのこと。
- 事前調査事項
- NDC
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- 気象学 (451 9版)
- 参考資料
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- 『雲のカタログ』村井 昭夫/文と写真(草思社)
- 『日本列島驚異の自然現象』武田 康男/監修(昭文社)
- 『空の色と光の図鑑』斎藤 文一/文(草思社)
- 『最新天気がよ〜くわかる本』岩槻 秀明/著(秀和システム)
- 『世界一美しい自然現象図鑑』渡部 潤一/監修(双葉社)
- キーワード
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- 光芒(コウボウ)
- 薄明光線(ハクメイコウセン)
- チンダル現象(チンダルゲンショウ)
- 雲(クモ)
- 太陽光線(タイヨウコウセン)
- エアロゾル(エアロゾル)
- 気象(キショウ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000167394