レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013年09月03日
- 登録日時
- 2014/07/25 15:52
- 更新日時
- 2014/09/24 14:51
- 管理番号
- 埼熊-2014-039
- 質問
-
解決
『古事類苑』政治部二五の上、《叙位》の書き出しの「考期」とはどういう意味か知りたい。
- 回答
-
「考期」の語、そのものを解説する記述は見つからなかったが、「考課」の解説に「考期」に関連すると思われる記述があった。
- 回答プロセス
-
1.該当箇所を確認する。
『古事類苑 19 政治部』(神宮司庁編 吉川弘文館 1970)
p1461に「考期 八月一日ヨリ翌年七月三十日マデノ間ヲ考期トス」とあり。
2.歴史辞典等を調べる。
『国史大辞典 15 下 索引』(国史大辞典編集委員会編 吉川弘文館 1997)
〈考期〉の項なし。
『国史大辞典 7』(国史大辞典編集委員会編 吉川弘文館 1986)
〈叙位〉の項に〈考期〉の単語や記述はないが、参考関連項目に〈考課〉という語がある。
『国史大辞典 5』(国史大辞典編集委員会編 吉川弘文館 1985)
〈考課〉の項に「律令官人の考仕つまり勤務評定」とある。以下該当部分を引用する。
「外散位は国衙に籍のある散位クラスで、のちに外分番ともよぶ。その毎年の評定には、八月一日-翌年七月末の年度に、内・外長上は二百四十日(中略)の上日つまり出勤日数が必須の前提となり、原則としてこの日数に満たなければ、その年度は評定の対象から除かれた。」
『古事類苑』の〈敍位〉の期日と一致することから、意訳として「評定期日」のような言葉であると推測する。
『広辞苑』(新村出編 岩波書店 1969)で〈評定〉を引くと、「①評議して定めること。②一定の尺度に従って価値・品等などを定めること。」とある。
3.古事類苑に関連する資料を調べる。
『古事類苑新仮名索引』(倉本一宏編 吉川弘文館 2010)
〈こうき 考期〉の項はないが〈こうか 考課〉はあり。「政治部 1 1208」とあり。
『古事類苑 19 政治部』
p1208(「政治部21 上編 考選」)であるが、該当部分は不明である。p1203に「其主典以上ノ官人、及ビ分番ノ人ノ年中ノ行、能、功、過ハ八月一日ヨリ翌年七月三十日マデヲ考期トシテ、本司ノ主典毎日實録シ、(後略)」とあり。
『三大編纂物群書類従・古事類苑・国書総目録の出版文化史』(熊田淳美著 勉誠出版 2009)
書名のとおり、各書籍の編纂・出版事情(『古事類苑』は明治期)を研究した内容で、質問の趣旨には合わない。
4.外国語辞典を調べる。
『熊野中国語大辞典』(熊野正平編 三省堂 1984)
〈考〉の項に「[考期]試験期日」とあり。
5.《自館目録》を〈律令官人制〉で検索する。
『律令官人制と地域社会』(中村順昭著 吉川弘文館 2008)
p194-218「第1章 律令郡司の四等官」の章に、考課についての記述はあるが考期についてはなし。
『律令官人給与制の研究 日本史学研究叢書』(高橋崇著 吉川弘文館 1970)
p315「官人の考期は、八月一日にはじまり七月三十日に終る。」とあり、以下、考課についての説明が続く。
以上のことから、考期とは「考課の対象となる期日」として使用されていたと思われる。
- 事前調査事項
- NDC
-
- 日本史 (210 9版)
- 参考資料
-
- 『国史大辞典 5』(国史大辞典編集委員会編 吉川弘文館 1985) , ISBN 4-642-00505-6
- 『古事類苑 19 政治部』(神宮司庁編 吉川弘文館 1970)
- 『熊野中国語大辞典』(熊野正平編 三省堂 1984) , ISBN 4-385-12171-0
- 『律令官人給与制の研究 日本史学研究叢書』(高橋崇著 吉川弘文館 1970)
- キーワード
-
- 考期
- 考課
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000156805