レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014年07月21日
- 登録日時
- 2014/07/21 18:38
- 更新日時
- 2014/12/12 14:23
- 管理番号
- 吹-70-2014-008
- 質問
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解決
伊勢大輔(いせのたいふ)の歌「いにしへの奈良の都の八重桜けふここのへに匂ひぬるかな」に登場する八重桜が、奈良県の知足院(ちそくいん)(東大寺の塔頭)にあると聞き、見に行った。古い桜が2本咲いていたが、いずれも八重ではなく、一重だった。なぜか。
・県庁の前に、この桜の子どもに当たる木があるが、こちらは枯れかけていた。
・『詞花集』春の巻には、昔は八重桜が少なくて貴重なものだったので、宮中に献上された、というような事が書いてあるそうだが・・・。
- 回答
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歌に詠まれた八重桜、すなわち「奈良八重桜」という品種の花期が4月下旬から5月上旬で、他の桜より遅いことが判明。利用者に桜を見に出かけられた時期を確認したところ、4月上旬との事だったので、その際、ご覧になった桜は別の品種の可能性が高いことをご説明しました。
- 回答プロセス
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質問に出てきた『詞花集』及び和歌の解釈本をあたるが特に情報は得られず。奈良のガイドブック関連と植物学関連の本をあたるとともに、奈良県のホームページを検索。
『新日本古典文学大系 9』(岩波書店 1989)に「詞花和歌集」が収集。「いにしへの・・・」は、巻第一春に掲載。(p227~228)現代語訳、注釈と簡単な解説。
『百人一首を楽しくよむ』(井上宗雄/著 笠間書院 2003)に「いにしへの・・・」はp61に掲載。現代語訳と鑑賞、語句の解釈があり、「八重桜が他の桜より咲くのが少しおそい」とある。
『奈良大和路の桜100選』(山崎しげ子/編著,矢野建彦/編著 東方出版 2001)
p106~110に「いにしへの・・・」に詠まれた八重桜について記載あり。
・歌に詠まれた奈良の都の八重桜=奈良八重桜。
・東大寺の塔頭、知足院から若木を移した奈良八重桜が奈良県庁のすぐ東、登大路に面した駐車場の一角に植えられている。
・「知足院の桜は、大正十一年にここを訪れた植物学者、三好学博士が、裏山に咲く桜を古記録にある奈良八重桜と同種と認定し・・・」
・「奈良の県花でもあるこの奈良八重桜は、花期が遅い。染井吉野が散ったあとも蕾はまだかたく、四月二十四、五日からようやく咲き始める。」
『桜』(三好学/著 富山房 1980)
p216~218に知足院の奈良八重桜についての記載あり。
『桜』 1 (有岡利幸/著 法政大学出版局 2007)
p111~117に「いにしへの・・・」に詠まれた八重桜や、知足院の八重桜についても記載あり。
『奈良公園の植物』 (北川尚史/著,伊藤ふくお/写真 トンボ出版 2004)
p51にナラノヤエザクラの解説と写真あり。「ゴールデンウィークの頃に満開となる」との記載。
p118~119にサクラ(ナラノヤエザクラ含む)の解説、p129~131のナラノヤエザクラの項に「いにしえの・・・」に詠まれた八重桜について記載
あり。
奈良県公式HP http://www.pref.nara.jp/
「知足院」で検索。
奈良県メールマガジン「大仏さんのつぶより情報」第69号(2003.4.25)
- 事前調査事項
- NDC
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- 詩歌 (911 8版)
- 植物地理.植物誌 (472 8版)
- 参考資料
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『百人一首を楽しくよむ』(井上宗雄/著 笠間書院 2003)
『新日本古典文学大系 9』(岩波書店 1989)
『奈良大和路の桜100選』(山崎しげ子/編著,矢野建彦/編著 東方出版 2001)
『桜』(三好学/著 富山房 1980)
『桜』 1 (有岡利幸/著 法政大学出版局 2007)
『奈良公園の植物』 (北川尚史/著,伊藤ふくお/写真 トンボ出版 2004)
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『百人一首を楽しくよむ』(井上宗雄/著 笠間書院 2003)
- キーワード
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- 八重桜
- 百人一首
- 和歌
- 奈良
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000156601