レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013/12/01
- 登録日時
- 2014/04/02 00:30
- 更新日時
- 2014/04/03 21:47
- 管理番号
- 6000005353
- 質問
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解決
有吉佐和子著『油屋おこん』の図書を探しています。
インターネットで見た『有吉佐和子の世界』(翰林書房出版)によると、「毎日新聞1979年(S57年)4月11日から8月19日に128回連載」とのことです。
新聞連載時の「縮刷版のコピー依頼」以外で、この作品を読みたいからです。
- 回答
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有吉佐和子著『油屋おこん』の図書、もしくはそれが収録されている図書は見つけることはできませんでした。
連載中に事情があったようで、状況等を書いた資料と『有吉佐和子の世界』以外で『油屋おこん』を紹介している図書を挙げております。近辺の図書館で毎日新聞の所蔵状況を調査したところ、残念ながら1979年頃の所蔵はありませんでした。当館へ来館なさるか複写サービスをご利用ください。
1.『紀伊半島近代文学事典 和歌山・三重 和泉事典シリーズ』<910.26/3321N>p.7によりますと『油屋おこん』新聞連載小説[初出]『毎日新聞』昭和54年4月11日から8月19日(5月7日、7月9日、8月6日休載)単行本未収録、となっており、解説文へと続いています。
2.『挿絵画家・中一弥 日本の時代小説を描いた男 集英社新書』<L32/183N>p.207に「『油屋おこん』は有吉さんが挑戦した、ポルノ小説でした。...伊勢の古市の女郎屋「油屋」にいた遊女おこんを主人公にして小説は面白く展開していきました。ところが、400回位の予定が120回かそこらで中絶してしまった。有吉さんは、もう書けない、とか言って、北海道かどこかへ逃げてしまったらしいです。...有吉佐和子が書くポルノだからって、毎回楽しみに読んでいたのに、一体どうしたんだという電話や手紙が学芸部に殺到したそうです。普通新聞連載が完結すると「連載を終えて」とかいうエッセイを必ず作家本人が書くんです。でも、有吉さんがつかまらないので、....当時の学芸部長の白木さんが「女性がお金のために売られ、苦界に身を沈めて苦労を重ねている。作者はそのおこんが哀れになって書けなくなりました」というような断り書きを書いていました」とあります。
3.『世界 1996年 626号』<P05/6N>p.190-191「経済社会戯評 常識」(朔北胡笳/著)に「7月12日テレビ朝日は夜9時から故人有吉佐和子を取り上げ、...とくによかったのはほとんどの人がとりあげなかった『油屋おこん』を彼女の作家としての最初の挫折としてとりあげたことでした。...ポルノを天皇制とひっかけて二つのタブーを書いて見せる。それが『油屋おこん』だったと思います。そこで伊勢神宮の門前が選ばれ、...有吉さんが中止せざるをえなかったのは伊勢神宮と天皇制との関係があったからではないでしょうか。彼女は言いました。もしこれが読書が少ない文芸雑誌であったならば、問題はなかったろう。何百万部の新聞であるために不可能になったと。事実、この小説を単行本として出版しようとして、出版社のいくつかをまわったというのです。ベストセラーをつぎつぎと出してきた彼女の本を拒否する本屋はないと思われました。ところが逆だったのです。」と書かれています。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本文学 (910 8版)
- 参考資料
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- 紀伊半島近代文学事典 浦西/和彦∥編 和泉書院 (7)
- 挿絵画家・中一弥 中/一弥∥著 集英社 (207)
- 世界 岩波書店 岩波書店 626-627 (190-191)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 書誌事項調査
- 内容種別
- 出版情報
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000151734