レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013年08月19日
- 登録日時
- 2013/11/29 14:34
- 更新日時
- 2014/01/21 13:54
- 管理番号
- 埼浦-2013-043
- 質問
-
解決
江戸幕府の発する「触」がどのようにして全国に伝達されたかわかる資料が見たい。
将軍の発する1通の「触」が誰の手によって何通くらい筆写され、それらがどのようにして、諸藩・幕臣・宮中・寺社などに伝えられたのか、
諸藩に伝えられた「触」はどれくらいの日数で国元に届き、諸藩の家来や領国中にどのようにして伝えられたのかなど具体的に知りたい。
- 回答
-
質問者の求める事項の回答を網羅したものは見当たらなかったが、江戸期の法令がどのように伝達されたかに触れた以下の資料を紹介した。
『国史大辞典 12』(国史大辞典編集委員会編 吉川弘文館 1991)
『日本史大事典』(平凡社 1993)
『幕末御触書集成 別巻 解題』(石井良助、服藤弘司編 岩波書店 1997)
『慶安御触書成立試論』(山本英二著 日本エディタースクール出版部 1999)
『御触書集成目録 解題』(石井良助、服藤弘司編 岩波書店 2002)
『法制史之研究』(三浦周行著 岩波書店 1919)
『支配をささえる人々』(久留島浩編 吉川弘文館 2000)
『江戸幕府法の研究』(茎田佳寿子著 巌南堂書店 1980)
『別冊ジュリスト 法学教室 NO.2』(有斐閣 1961)
『幕藩領主の権力構造』(藤井讓治著 岩波書店 2002)
『日本の近世 3』(藤井譲治編 中央公論社 1991)
「江戸時代のお触れ」(藤井讓治著 山川出版社 2013)
- 回答プロセス
-
レファレンスブックを調査する。
『国史大辞典 12』
p367「触」質問文と同様の解説の他、用語の整理あり。解説者は茎田佳寿子。参考文献は『民法典の編纂』(石井良助)『日本史大事典』参考文献『概説古文書学 近世編』(日本歴史学会編 吉川弘文館 1989)
第1巻p1129「御書付」の項あり。解説者は笠谷和比古 第2巻p35「廻状」の項あり。解説者は安藤正人 第5巻p1352「触」の項「『御触書』は老中・若年寄の部局で草案が作成され、(中略)表右筆部屋でその写しを必要部数作り」とあり。関連する法令伝達に「達」「書付」があるとのこと。
自館目録を〈御触書〉で検索する。
『幕末御触書集成 別巻 解題』p177-332 第5章「幕府法の伝達」
時代を追って、触書以外の口頭伝達等も含めた幕府法の伝達の変遷を紹介しており、取り上げられた例には伝達対象や作成通数、伝達手段をあげている。
p213~215 注(5)法令写しの作成場所及び作成通数の例あり。
『慶安御触書成立試論』
p147- 慶安御触書が地方領内に流布した状況の記述あり。
『御触書集成目録 解題』
p3「法令制定過程における三段階の日付」
幕府法には制定日のほか、「お渡し日」「触れ出し日」の三段階があることに触れたものだが、p3-4に御用部屋で成立した触書の写しが手渡される過程の短い紹介あり。
法制史に関する資料を調査する。
『法制史之研究』
p106-152「歴代法制の公布と其公布式」第4章「江戸時代」で、法令の公布について「法令通達の手続」、「諸大名への通達法」、「江戸の町触」、「大坂京都其他の通達法」の項目により紹介している。
『支配をささえる人々』
p28町人代官の役割の中に、触の廻達があったことに触れている。
『江戸幕府法の研究』p188- 法令の公布について触れた記述あり。
参考文献紹介あり。
「触書についての研究は、法令の公布についての三浦周行「歴史法制の公布と其交付式」(『法制史研究』)から、「日本法制史概説」(石井良助)にいたる概説的な解説にとどまっている。江戸町触を中心に下部組織への公示方法については、「法の公示の沿革」(石井良助)『別冊ジュリスト 法学教室2』」
石井良助「法の公示の沿革」『別冊ジュリスト 法学教室 NO.2』(有斐閣 1961)
p80-御触書の種類等のほか、公示方法に「御用部屋付属の書記局である表御右筆部屋で」作成とあり。勘定奉行所、寺社奉行からの伝達についても触れている。
事前調査資料「法令の伝達と将軍吉宗の主導」『徳川林政史研究所 研究紀要 第39号」の参考文献より
『幕藩領主の権力構造』
p161-216 「幕藩制前期の幕令-酒造制限令を素材に-」幕令を全国令、幕僚令、町触に類別、寛永~正徳間の各酒造関係法令を対象として伝達対象、伝達の類型を示している。
p205-229「元禄法令期の幕令」史料「仰出之留」(法文の末に法令の伝達のあり方の記載あり)を用いて、元禄・宝永期の法令を伝達方式から類型分析している。
『日本の近世 3』(藤井譲治編 中央公論社 1991)
p11-44「「法度」の支配」幕令の伝達法の変遷を事例(写真)を付して紹介している。
他機関を調査する。
《CiNii Books》を〈藤井譲治〉で検索する。
「江戸時代のお触れ」(藤井讓治著 山川出版社 2013)
《山川出版社》サイトに紹介あり。(http://www.yamakawa.co.jp/product/detail/2205/ 山川出版社 2013/11/29最終確認)
「これらのお触れがどのようにつくられ伝えられたのか,さらにお触れという伝達システムがどのようにして生まれたのかを紹介」とあり。
その他調査済み資料
『法制史の研究 続』(三浦周行著 岩波書店 1925)
『日本法制史 1』(高柳真三著 有斐閣 1972)
『江戸時代漫筆〔正〕 江戸の町奉行その他』(石井良助著 井上書房 1959)
- 事前調査事項
-
「法令の伝達と将軍吉宗の主導」『徳川林政史研究所 研究紀要 第39号』(徳川黎明会 2005)
- NDC
-
- 法制史 (322 9版)
- 日本史 (210 9版)
- 参考資料
-
- 『国史大辞典 12』(国史大辞典編集委員会編 吉川弘文館 1991)
- 『日本史大事典』(平凡社 1993)
- 『幕末御触書集成 別巻 解題』(石井良助、服藤弘司編 岩波書店 1997) , ISBN 4000088378
- 『慶安御触書成立試論』(山本英二著 日本エディタースクール出版部 1999) , ISBN 4-88888-288-6
- 『御触書集成目録 解題』(石井良助、服藤弘司編 岩波書店 2002) , ISBN 4-00-008838-6
- 『法制史之研究』(三浦周行著 岩波書店 1919)
- 『支配をささえる人々』(久留島浩編 吉川弘文館 2000) , ISBN 4-642-06555-5
- 『江戸幕府法の研究』 (茎田佳寿子著 巌南堂書店 1980)
- 『別冊ジュリスト 法学教室 NO.2』(有斐閣 1961)
- 『幕藩領主の権力構造』(藤井讓治著 岩波書店 2002) , ISBN 4000244140
- 『日本の近世 3』(藤井譲治編 中央公論社 1991) , ISBN 4124030231
- 「江戸時代のお触れ」(藤井讓治著 山川出版社 2013) , ISBN 9784634546974
- キーワード
-
- 御触書
- 法制史-日本-江戸時代
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000141357