レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2008年03月25日
- 登録日時
- 2013/09/23 09:43
- 更新日時
- 2015/12/14 00:30
- 管理番号
- 10-3A-201309-13
- 質問
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解決
大阪弁の「わて」と「うち」の使い分けについて知りたい。未婚と既婚で使い分けるのか。
- 回答
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明確な使い分けの基準は確認できなかった。「わて」も「うち」も主に女性が使う一人称代名詞であるが、『外国人留学生から見た大阪ことばの特徴 -例文英訳付-』 (彭 飛/著: 和泉書院,1993.4)p.49には、「大阪ことばの中には一人称代名詞の種類がわりあいに多い。年配の人はよく「わて」、「あて」、「わたい」、「あたい」などと言うし、中年の女性は「うち」を愛用しているようである。」とあった。
- 回答プロセス
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1. 大阪ことばに関する資料をチェック
『全国方言辞典』(東条操/編 東京堂出版 1978)
p.64「うち」 主として女子供の一人称。わたくし。あたし。
p.860「わて」 わたし。あたし。
『大阪ことば辞典』(堀井 令以知/編 東京堂出版 1995.9)
p.29「アテ」 私。中高年女性が使用。複数でアテラという。大阪ことばの自称代名詞は、アテのほかワテ、ワイ、ワタイ、ウチなどともいう。
p.29「*ワテ」私。ワタイをぞんざいにいった言葉。複数ではワテラ。「ワテほんまによういわんわ」のように女性が主に使用する。船場では男性もワテを用いたが、普通は男はワイとかワシを使用した。ワタイは男女とも用いたが、ワイ、ワタイはしだいに使用されなくなった。ワシも老年層が使用するだけになった。
p.29「*ウチ」 私。女性語。
『大阪ことば事典』 (牧村 史陽/編 講談社,1984.10 講談社学術文庫658)
p.76「ウチ」 家。また、私という時にも使う。主として、婦人子供用語である。
p.749「ワテ」 わたし。男がワイまたはワシというのに対して、女はワテという。
『外国人留学生から見た大阪ことばの特徴 例文英訳付』 (彭 飛/著 和泉書院,1993.4)
p.49 「大阪ことばの中には一人称代名詞の種類がわりあいに多い。年配の人はよく「わて」、「あて」、「わたい」、「あたい」などと言うし、中年の女性は「うち」を愛用しているようである。」とあり。
『上方ことば語源辞典』 (堀井 令以知/編 東京堂出版,1999.8)
p.40「ウチ」私。[語源]家の「内」の意味から。京都の女性語。ウチラ(単数・複数)ともいう。
p.256「ワテ」私。[語源]ワタシから、ワタイになり、ワテに変化した。ワタイをぞんざいにいったもの。
『大阪府のことば』 (平山 輝男/[ほか]編 明治書院,1997.7)
p.56 「人を指すことば」の(1)代名詞の項に、「自分(男)=ワタシ…ワテ,ワイ(市外的)…」「自分(女)=ワタシ…ウチ~ウチ[ワタイ~ワタイ・ワテ(市外的)]」とあり。
2.商用データベース「Japan Knowledge(ジャパンナレッジ)(事典・辞書等)」を確認
「デジタル大辞泉」より
「わて」一人称の人代名詞。わたし。あて。初め女性語であったが、後には男性も用いた。主に関西地方で使われる。
「うち」一人称の人代名詞。わたし。わたくし。自分。関西地方で、多く女性が用いる。「―は嫌やわ」
- 事前調査事項
- NDC
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- 方言.訛語 (818 9版)
- 参考資料
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- 当館書誌ID <0000621300> 大阪府のことば(日本のことばシリーズ 27) 平山 輝男/[ほか]編 明治書院 1997.7 4-625-52227-7
- 『全国方言辞典』東条操/編 東京堂出版 1978 <当館書誌ID:0000214954>
- 『大阪ことば辞典』堀井令以知/編 東京堂出版 1995.9 <当館書誌ID:0000476833>
- 『大阪ことば事典』 牧村 史陽/編 講談社,1984.10 <当館書誌ID:0000243116>
- 『外国人留学生から見た大阪ことばの特徴 -例文英訳付-』 彭 飛/著 和泉書院,1993.4 <当館書誌ID:0000312815>
- 『上方ことば語源辞典』堀井 令以知/編 東京堂出版,1999.8 <当館書誌ID:0000756081>
- キーワード
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- 方言
- 大阪弁
- ことば
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000137468