レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013年4月27日
- 登録日時
- 2013/07/05 17:44
- 更新日時
- 2023/11/11 12:31
- 管理番号
- 名古屋市瑞-2013-003
- 質問
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解決
「桃太郎」で、桃太郎が桃から生まれる話ではなく、おばあさんが若返って桃太郎を生むという話がのっている資料を見たい。
- 回答
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『江戸の子どもの本』p3に、「桃太郎」にはおばあさんが若返って桃太郎を生む「回春譚」と桃から生まれる「果生譚」の2パターンがあり、江戸時代には前者が主流であったと記載されています。例として都立中央図書館加賀文庫所蔵の赤本『桃太郎昔語』の写真版と翻刻が収録されており(同書p6~27)、出産場面でおばあさんが若返っている姿が確認できます(p11)。この絵は『落穂ひろい 上巻』、『江戸の絵本4』にも収録されています。
『新編稀書複製會叢書 第5巻』の藤田秀素が著した草双紙『桃太郎』も同様の場面があります。
また明治時代の森桂園の創作『鬼が島』でもおばあさんが若返っていることが、『桃太郎の運命』p22-23に記されています。
一方、地域ごとの伝承を探ってみると、『日本昔話大成 第3』p69-85に項目「桃の子太郎」があり、香川県、埼玉県に、おばあさんが若返る桃太郎の話が伝わっていることがわかります(同書p74,80-81)。
- 回答プロセス
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「桃太郎」の古くからの伝承の中に若返りの話もあるだろうと考え、昔話関連の文献『日本昔話大成 第3』を見ました。この中で香川県、埼玉県に若返る話があることが分かりましたが、近代以降再話されているものでは見つかりませんでした。
再話ではありませんが、森桂園の創作が若返りの話になっていることが『桃太郎の運命』の中で確認できました。
近代から遡って近世ではどうなっているか調べるため『江戸時代の子どもの本』を見ると、「回春譚」「果生譚」というわかりやすいキーワードとともに、江戸時代では前者(若返りの話)が主流であったことが記されていたので、この時期の話も検索し、資料を提供しました。
- 事前調査事項
- NDC
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- 伝説.民話[昔話] (388 7版)
- 児童文学研究 (909 9版)
- 小説.物語 (913 9版)
- 参考資料
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- 『江戸の子どもの本 赤本と寺子屋の世界』叢の会/編 笠間書院 2006年
- 『桃太郎の運命』 鳥越信/著 ミネルヴァ書房 2004年
- 『落穂ひろい 上巻 日本の子どもの文化をめぐる人びと』 瀬田貞二/著 福音館書店 1982年
- 『江戸の絵本 4 初期草双紙集成』 小池正胤・叢の会/編 国書刊行会 1989年
- 『日本昔話大成 第3』 関敬吾/著 角川書店 1978年
- 『新編稀書複製會叢書 第5巻』 中村幸彦・日野龍夫/編 臨川書店 1989年
- キーワード
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- 桃太郎
- 回春譚
- 昔話
- 伝承
- 絵本
- 赤本
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000133339