レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011/07/05
- 登録日時
- 2011/11/08 17:00
- 更新日時
- 2012/02/14 14:15
- 管理番号
- 埼久-2011-047
- 質問
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解決
印籠の紐の結び方を知りたい。
- 回答
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当館所蔵資料では、印籠底の紐については飾結びをするとの記述があるだけで、印籠の結び方については明確な記述は見つからなかった。
図版を見る限りでは、必ずしも決まった結び方があるわけではないようである。
参考資料を下記にあげる。
『結び方手帖』(藤原覚一著 築地書館 1975)
p34-35 袋物の紐の「下結び」及びこれを元にした飾結びの結び方数種が載っている。
「こんな長緒の結びにはたいがいこの「下結び」が最初に結ばれます。(中略)「下結び」を元にした飾り結びを数種あげます」とあり。
『印籠と根付』(東京国立博物館編 二玄社 2000)
p244 「紐の輪の方は、印籠の底で飾結びとする」との記述あり。図にも「飾結び」とある。
p27-80 印籠の図版多数あり。
図版では結び目の形状の違いや輪の本数の違いがあり、結び方は数種類あるように見える。
『幕末・明治の工芸 世界を魅了した日本の技と美』(村田理如著 淡交社 2006)
p68-79「印籠」の項 図版約20種あり。
下方の紐の結びについては、p81に「紐結び」という名称で紹介されているのみ。
『印篭 シャンプ-=コレクション』(京都書院 1984)
印籠の大判図版多数あるが、ほとんどが本体のみ。紐の部分までの写真はほとんどなし。解説は少なく、結び方については記述なし。
『くすり入れ 印篭・薬箱・百味箪笥 くすり博物館収蔵資料集 3』(三宅康夫編著 内藤記念くすり博物館 1998)
p10-21に印籠、p11には部位の説明として「飾結び」がある。
ただし、それぞれの図版を見ると、単に左右の2本の紐を結んだ形状のもの(紐が輪になっていない)なども多く、決められた方法があるわけではないと思われる。結び方についての記述は見あたらず。
その他印籠の関連図書
根付の資料などに印籠の記述あり。
『根付 たくみとしゃれ』(荒川浩和編 淡交社 1995)
p88-95に印籠あり。p90に部位名として「飾結び」とあり。
NDC分類〈553.7〉、〈594.4〉に多く関連資料あり。関連記述のあるものは以下のとおり。
『結びの百科 万有ガイド・シリーズ 26』(マリオ・ビゴン著 グイド・レガッツォーニ著 小学館 1983)
p95 新橋結びなど結び目が似ている結び方の紹介あり。ロープワークが多く、伝統工芸で使われたかどうかは不明。
『結びの図鑑 part2』(中沢弘著 舵社 1981)
p57 飾り結びの項に日本古来の結び方も紹介されている。印籠の図版に似ているのはp84(シングル ジュリィ.スパニッシュ、トムフールノット)など数種あり。
『伝統の水引手芸 手工芸入門』(中出京子著 主婦の友社 1975)
p119 叶結(結び目が似ている)の図解あり。
ステップ式に結び方を紹介しているが、紐の端を輪の中に通す必要があり、この方法では印籠の底の飾結びには向かない。
高炉袋の結び、三輪封結びの結び方が多くの図版で見られる印籠底側の結びの形に似ている。
『伝承・花結び』(おほつき四郎編著 総合科学出版 1981)
p61「胸の守に叶結を用ひたる図」「筒守に叶結を用ひたる図」
p64-65 「二重叶結」の結び方 其一から其三まであり。
『伊勢貞丈「包結記」復刻 1 翻刻・現代語訳集』(伊勢貞丈〔原著〕 荒木真喜雄著 淡交社 2007)
p94「叶結」の結び方あり。
『伊勢貞丈「包結記」復刻 2 再現用図集』(伊勢貞丈〔原著〕 荒木真喜雄著 淡交社 2007)
p62「叶結」の結び方あり
『紐(ロープ)の本』(西田徹〔著〕 ロングセラーズ 1975)
p161「叶結」、p162「ふたえ叶結」の結び方あり。
『結び方の研究』(額田巌著 創文社 1951)
索引に〈印籠〉なし。
p104 「二つ輪いれひも」過程と出来上がりの図あり。
「三つ輪いれひも」出来上がりの図あり。
「三輪結(新橋結)」過程と出来上がりの図あり。
『図説日本の結び』(藤原覚一著 築地書館 1974)
p162-163 「千代久封結び」解説と結び方の図あり。
『日本の結び』(額田巌著 講談社 1977)
p119 「当時の袋ものの結びとじは、守り袋の封じ結び、巾着結び、印籠、煙草入れなどの根付の結びなどがある。」(「当時」とは江戸時代) 江戸時代の印籠の写真が掲載されているが、何結びかは記載なし。
その他調査済み資料
『なわ(ロープ・紐・糸)結び』(おほつき四郎編著 総合科学出版 1975)
『なわ(ロープ・紐・糸)結び 職人の手技を盗みとる本 続』(おほつき四郎編著 総合科学出版 1976)
『イラスト・図解〈用途別〉結び方事典 結びの基本と用途別活用法のすべて』(小暮幹雄著 ナツメ社 1987)
『結びの文化 日本人の知恵と心』(額田巌著 東洋経済新報社 1983)
『見てわかる結び方の本』(南条武編著 有紀書房 1988)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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インターネットで、〈印籠+結び方〉でキーワード検索すると、《蒔絵博物館》という個人のウェブサイトが見つかり、その中では詳しく写真付きで説明されている。
《蒔絵博物館》印籠の装い→印籠紐→結び方→実演(http://makie-museum.com/act.html 2011/06/30最終確認)
このウェブサイト内では、結び方に特に決まった名称はないようだが、「守袋の紐の結びに見られ・・・」とあるので、お守り袋の結び方に似ているものがあるようだ。
「結び ものと人間の文化史」(額田巌著 法政大学出版局 1979)のp98-117にある装飾結びの中で、p102にある二重かのう結びが近いようだが、結び方は載っていない。
『図説日本の結び』(藤原覚一著 築地書館 1979)のp174、p258に「二重叶結び」の結び方が図入りで説明されていて、p105の「一説茶入茶碗袋之諸結形」が蒔絵博物館のウェブサイトで紹介されている1つ輪の結び方には似ている。
以下の資料には記載なし。
「印籠と薬 江戸時代の薬と包装」(服部昭著 風詠社 2010)
「印籠と根付」(東京国立博物館編 二玄社 2000)
「骨董緑青 Vol.39 特集◆研出し蒔絵の印籠」(マリア書房 2009)
「絵でよむ江戸のくらし風俗大事典」(棚橋正博編著 柏書房 2004)
「骨董をたのしむ 4 別冊太陽 印籠と根付」(平凡社 1995)
「道具で見る江戸時代(シリーズ「江戸」博物館)」(高橋幹夫著 芙蓉書房出版 1998)
「道具と暮らしの江戸時代(歴史文化ライブラリー)」(小泉和子著 吉川弘文館 1999)
「結び方全書 暮らしに使える170の結び」(羽根田治監修 池田書店 2009)
「茶人のかざり結び」(西垣琳弘著 総合科学出版 1979)
「かざり緒結び」(西垣琳弘[著] 総合科学出版 1976)
「はじめての飾り結び 2 図解」(川島美園著 水曜社 2008)
「はじめての中国結び 伝統技法で作るアクセサリーと生活雑貨」(櫻井 薫著 日貿出版社 2006)
「やさしい飾り結び NHK婦人百科」(橋田正園著 日本放送出版協会 1983)
「はじめての飾り結び 図解」(川島美園著 水曜社 2006)
- NDC
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- 宝石.牙角.皮革工芸 (755 9版)
- 衣食住の習俗 (383 9版)
- 参考資料
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- 『結び方手帖』(藤原覚一著 築地書館 1975)
- 『印籠と根付』(東京国立博物館編 二玄社 2000)
- 『幕末・明治の工芸 世界を魅了した日本の技と美』(村田理如著 淡交社 2006)
- 『印篭 シャンプ-=コレクション』(京都書院 1984)
- 『くすり入れ 印篭・薬箱・百味箪笥 くすり博物館収蔵資料集 3』(三宅康夫編著 内藤記念くすり博物館 1998)
- 『根付 たくみとしゃれ』(荒川浩和編 淡交社 1995)
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『結びの百科 万有ガイド・シリーズ 26』(マリオ・ビゴン著 グイド・レガッツォーニ著 小学館 1983)
- 『伝承・花結び』(おほつき四郎編著 総合科学出版 1981)
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『伊勢貞丈「包結記」復刻 1、2 翻刻・現代語訳集』(伊勢貞丈〔原著〕 荒木真喜雄著 淡交社 2007)
- 『紐(ロープ)の本』(西田徹〔著〕 ロングセラーズ 1975)
- 『結び方の研究』(額田巌著 創文社 1951)
- 『図説日本の結び』(藤原覚一著 築地書館 1974)
- 『日本の結び』(額田巌著 講談社 1977)
- キーワード
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- 印籠
- 紐
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000096322