1.天然ガスについて
1.1埋蔵量
推定量に関する統計資料を見出すことはできませんでしたが、確認可採埋蔵量については、『世界の統計2010』(総務省統計局 2010.3)p.186「6-5 石炭・原油・天然ガス・ウラン埋蔵量」に「51(10億?)」との記述がありました。[出典:UN,Energy Statistics Yearbook 2006]
また、『資源エネルギー年鑑 2011』(通産資料出版会 2011.2)p.78「表Ⅰ.1.2.3 世界の資源埋蔵量」にも同じ数値が掲載されていることを確認しました。[原典:UN,Energy Statistics Yearbook 2006、出典:『世界の統計2010』]
因みに、『EDMC/エネルギー・経済統計要覧 2010年版』(省エネルギーセンター 2010.3)p.264-265「世界の天然ガス確認可採埋蔵量(2008年末)」には、日本の統計は記載されておりません。[出典:BP Statistical Review of World Energy 2009]
更に、『石油・天然ガス開発資料 2008』(石油通信社 2009.3)p.13-14にも平成17年度/18年度の年末埋蔵量「国内陸域:472.7(億立法メートル)」および「周辺海域:10.8/13.5(億立法メートル)」と掲載されています。[出典:『天然ガス資料年報』]
1.2算出法
『エネルギー便覧 資源編』(コロナ社 2004.5)p.187に「日本国内における埋蔵量の計算基準は、日本工業規格の「原油及び天然ガス-鉱量計算基準」(JIS M1006)に規定されている。油層・ガス層内に存在するガスの量を、標準状態(0℃、1013hPa(1気圧)、水蒸気なし)または基準状態(15.6℃、1013hPa(1気圧)、水蒸気で飽和された状態)での天然ガスの体積に換算して表す。油層・構造性ガス層に対しては容積法、物質収支法または減退曲線法によるものとし、水溶性ガス層については容積法のみを規定している。そのほかに、油田開発初期段階の埋蔵量予測や未発見資源量の予測に対して、確立モデルが適用されることがある。」とあります。
当館所蔵の『JIS M1006-1992』を見ると、「2.用語の定義」「(7)鉱量」の備考に「鉱量は、総鉱量と可採鉱量とに区分し、それぞれ確認鉱量、推定鉱量及び予想鉱量の3種類に区分する。」とありました。
1.1埋蔵量では、可採鉱量の確認量しか確認できませんでしたが、『JIS M1006-1992』では他の埋蔵量の算出基準が示されていますので、ご参照いただければと思います。この資料の貸出はできませんが、閲覧および複写(*解説は半分まで)は可能です。
2.メタンハイドレートについて
「メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム」のホームページ上の「メタンハイドレート探査と資源量評価」がご参考になるかと思われます。最新のBSR分布図(2009)も掲載されているのでご参照ください。
図書では、前掲『エネルギー便覧 資源編』p.205-206「3.2.3 わが国のメタンハイドレート資源」に、「わが国周辺海域での資源量は、メタンハイドレートを含む地層中のメタンとして4.65兆立法メートル(161TCF)、下位層のフリーガスが2.7兆立法メートル(95CTF)と推定されている。(出典:佐藤幹夫ほか「天然ガスハイドレートのメタン量と資源量の推定」、『地理学雑誌』102、p.959-971、1996)」とあるのを確認しました。
インターネット情報では、少し古いデータですが、経済産業省の「メタンハイドレート開発計画について(平成13年7月)」に「我が国で、7.4兆立法メートル と試算されており、1999年度の我が国の天然ガス消費量750億立法メートル の約100年分に相当する。(出典:前掲論文「天然ガスハイドレートのメタン量と資源量の推定」)」と掲載されていました。
比較的新しい図書では、以下の2冊を確認しました。
■『図解新エネルギーのすべて 改訂版』(工業調査会 2009.6)p.222-225
*「東部南海トラフ海域の天然ガス原始資源量は11,415億立法メートル、当該海域の濃縮層のみで5,739億立法メートルと推定されました。」とある。
■『メタノールエコノミー』(化学同人 2010.7)p.68-70
*埋蔵量および算出方法がわかる記述はなし。索引では、他の個所にも「メタンハイドレート」の文字が確認できる。
他に適当な図書が見つからないため、最新の雑誌記事を探したところ以下の3件を確認しました。
■小俣一夫「環境問題を考える(34)」『月刊建築仕上技術』36<422>、2010.9、p.83-85
*「日本近海にあるとみられるメタンハイドレートは7兆4,000億立法メートル、天然ガスの国内消費量でおよそ100年分と試算されている。」とある。
■小俣一夫「環境問題を考える(35)」『月刊建築仕上技術』36<423>、2010.10、p.61-63
*「日本周辺海域でも、米国エネルギー省が南海トラフの北側に4,200億~4兆2,000億立法メートルの資源量があると試算している。」とある。
■松本良「メタンハイドレートに地球環境と明日のエネルギーを見る」『学士会会報』883、p.81-96
*p.93「図6 日本近海のBSR分布(出所:JOGMECホームページ)」には、、「我が国周辺のBSR(メタンハイドレート)~122,000平方キロメートル」とある。また、p.94には「東部南海トラフ海域内を精査した結果、出されたのが二〇から四〇Tcf(trillion cubic feet)(兆立方フィート)という、現在の日本の天然ガス年間消費量の七倍から一四倍のメタンです。この見積もりは、日本のBSR全体の一二二、〇〇〇平方キロメートルのうち、五〇〇〇平方キロメートルの調査に過ぎませんから、単純に計算すれば、その二〇倍から三〇倍はあることになります。精査されていない海域を、BSRの分布面積に基づいて試算し、「年間消費量の二桁倍(数百年分)」という数字も出されています。」とある。
因みに、東部南海トラフ海域内の数値については、経済産業省が平成19年3月5日に公表した「東部南海トラフのメタンハイドレート資源量評価結果について」の中で「容積法による算出の結果、「東海沖~熊野灘」の東部南海トラフ海域におけるメタンハイドレートの原始資源量としては、確率論的手法による平均値として約 40TCF(約1.1兆m3)(このうち濃集帯については約20TCF)となった。」とあるのが根拠と思われます。
上記以外でも経済産業省資源エネルギー庁のニュースを追えば、「「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」の取りまとめについて(平成21年3月24日公表)」などのように、天然ガスおよびメタンハイドレートに関する最新情報を得られるのではないかと思われます。
その他、「財団法人エネルギー総合工学研究所」のホームページ上で公開されている近年の研究成果等もご参考になるかも知れません。