レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011/03/29
- 登録日時
- 2011/04/23 02:01
- 更新日時
- 2011/05/23 14:01
- 管理番号
- 1000000211
- 質問
-
解決
黒金座主についての資料をみたい。伝説では悪者とされているが、本当はそうではないのではないか、という視点から調べている。
- 回答
-
『沖縄大百科事典 上ア~ク』(沖縄大百科事典刊行事務局、沖縄タイムス社、1983年)
p993「黒金座主(くろがねざしゅ)」の項には次のようにある。「沖縄の伝説。妖術使いの悪僧が退治されるというもの」で、「護国寺の住職を勤めたこともある盛海座主だとされる」「<耳切り坊主>という童謡もある。」
「黒金座主」「耳切り坊主」で検索すると何点かヒットする。そのほとんどが民話・伝説の一つとして概要を書いている。考察が含まれているものとして、下記の資料がある。
『琉球民話集 全巻』(琉球史料研究会、1969年)p290~293「黒金座主と子守唄」に「座主が琉球王府の批判をして北谷王子の粛清によって殺されたのではないか・・・」とある。
『沖縄の伝説』(大城立裕 他、角川書店、1976年)p12には「(黒金座主の伝説の)骨子となった事件は尚敬王(1713~15年)の時代のことで…事件の原因を、座主が政治批判をしたために粛清された…」との記述あり。
また、p129~137に掲載されている「黒金座主」でも、黒金座主と呼ばれた盛海上人は、「人望があつく」「読経の声は、いかにも有難く」「説教も非常に上手だった」ので「善男善女が、いつも、門前市をなすほど」であったと描かれている。
また、黒金座主が「謀反の企てを持っている」という噂がたち、「王もしくは蔡温にとって目ざわりな存在」だったために、「王命により斬殺」されたと描かれてる。
『琉球天女考』(真喜志 きさ子、沖縄タイムス社、1993年)p176~192に「耳切坊主のレクイエム」収録。
『琉球の昔物語 続』(仲宗根 幸市、海邦出版社、1982年)p19~22の「黒金座主」には「黒金座主は「悪僧」にしたてあげられ殺された・・・」の記述あり。
『青い海1/2 1972年7~12月号』のNo.15、8月号p45~49に「耳切坊主考」(与那覇太良著)の収録あり。p46に「民衆が何ぜ黒金座主のことを唄にして記憶しておこうとしたのか気になる。…政治的粛正として殺され、それがちょっとは民衆の同情をひいたからではなかろうか」という記述あり。
『青い海 1/2 65~68号 1977.8~12月』のNo.65、8月号p96~97に「沖縄の怪談ダイジェスト 耳切り坊主」(安座間善介著)の収録あり。p97に黒金座主は「実はやはり名僧で、時の王府の政策を批判して消されたのではないかという説もある」との記述あり。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
-
- 1 沖縄大百科事典 上 ア~ク 沖縄大百科事典刊行事務局∥編 沖縄タイムス社 1983.5 K03/O52/1 993
-
2 琉球民話集 全巻 琉球史料研究会 1969.3 K388/I66/ 290-293 -
3 沖縄の伝説 大城 立裕∥著 角川書店 1976.2 K388/O77/ 12、129-137 -
4 琉球天女考 真喜志 きさ子∥著 沖縄タイムス社 1993.6 K388/MA36/ 176-192 -
5 琉球の昔物語 続 仲宗根 幸市∥編 海邦出版社 1982.11 K388/N42/2 19-22 -
6 青い海 1/2 1972年7~12月号 青い海出版社 青い海出版社 1972 K05/A52/14-18 45-49 No.15 8月号 -
7 青い海 1/2 65~68号 1977.8~12月 青い海出版社∥編 青い海出版社 1977 K05/A52/ 96-97 No.65 8月号
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000085419