レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2010年08月08日
- 登録日時
- 2010/08/08 09:29
- 更新日時
- 2018/08/03 19:57
- 管理番号
- 11741
- 質問
-
解決
どじょう汁の詳しい歴史や香川県内のどじょうの生態について記述のある資料はあるか。
- 回答
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1 どじょう汁の詳しい歴史
次のような当館所蔵資料にどじょう汁に関する記述がある。記述の内容には差がない。
・『高校生に伝えたい香川の食文化 第4集』(食文化の会/編・発行 1995年)
〔請求記号:K5960 S8 1-4〕〔配架場所:郷土資料〕
どじょう汁の章に、次の記述がある。(70頁)
「夏バテ防止のスタミナ料理で、土用に食べられた。稲作農家では土用干しといって田植え以来水を
絶やさなかった水田を数日干しあげ、根張りをよくし堅作りの稲にする。その機会に用水路を干し上げて、
どじょうを捕まえてどじょう汁を作った。・・・」
・『高校生に伝えたい香川の食文化 第5集』(食文化の会/編・発行 1996年)
〔請求記号:K5960 S8 1-5〕〔配架場所:書庫〕
どじょう汁の章に、次の記述がある。(64頁)
「どじょうは、産卵前期の6月から7月にかけてが一年中で一番おいしい。昔は、池や川にどじょうがたくさん
棲息していた。香川県の綾歌郡や大川郡の西部では、暑い夏には、手打ちうどんと、川やため池からとってきた
どじょうに、ごぼう、里いも、ねぎなどを入れてどじょう汁をつくり、夏ばて防止の料理として盛んに食べた。
どじょう汁は、男性が主になってつくる料理であった。男性は子供と一緒に泥だらけになって、じょうれん(割った
竹で編んだもので土や砂を運ぶ道具)でどじょうをすくい、女性は畑から野菜を収穫して下準備をした。
うどんを打つのもどじょう汁を炊くのも男性であった。いろいろな共同作業や寄り合いには、外庭にかまどをつくり
大釜でどじょう汁をつくり、隣近所や親しい家の者が集まって、汗を流しながら何杯もおかわりをした。どじょう汁は、
家々が交代してつくりあったたのしい夏の行事のごちそうであった。」
次の資料にもどじょう汁についての記述があるが、上記の内容を越えるものとはなっていない。
・『さぬきの川魚料理レシピ集-食べてみよう!さぬきの川魚』
(香川県農政水産部水産課/編・発行 2006年)〔請求記号:K5960 K24〕〔配架場所:郷土資料〕
どじょうの章(8頁)
・『聞き書香川の食事』(「日本の食生活全集 香川」編集委員会/編 農山漁村文化協会 1990年)
〔請求記号:K5960 N3〕〔配架場所:郷土資料〕
Ⅰ四季の食生活 3夏 (2)道行く人も呼びとめて、どじょう汁で骨休み-晴れ食・行事食(165~166頁)
・『香川の食文化-ふるさとの味』(食文化の会/〔編〕・発行 2004年)
〔当館請求記号:K5960 S8 2〕〔配架場所:郷土資料〕
どじょう汁(93~94頁)
2 香川県内のどじょうの生態
次の資料により、香川県内のどじょうの生態がわかる。
・『香川県レッドデータブック-香川県の希少野生生物』(香川県希少野生生物保護対策検討会/編
香川県環境森林部環境・水政策課 2004年)〔当館請求記号:K4621 K6〕〔配架場所:郷土資料〕
Ⅱ.各論 3.種の解説 (6)淡水魚類 ドジョウ(コイ目ドジョウ科)(267頁)
「香川県カテゴリー:絶滅危惧Ⅱ類(絶滅の危機が増大している種)
選定理由 近年の河川改修、用水路の三面護岸工事や圃場整備などにより生息地が減少している。
農薬使用、家庭排水や工場排水の影響で水質汚濁が進み生息条件も悪化し、生息個体数が減少
している。
形態 全長11~12cm。口ひげは5対。腹面を除く体全体が黒褐色か緑褐色。尾びれと背びれに褐色の
小班が散在する。尾びれつけ根の背の方に小黒色斑がある。雄は雌より各ひれが大きく、特に胸びれが
大きくなり、基部は骨質化する。また、体側上部の後方に左右1対のこぶができる。
生息環境 平野部の浅い池・水田・細流などで流れのほとんどない泥底にすむ。6~7月、代掻きのときに
水田などに侵入して産卵する。泥場のある水田用水と、そこから遡上できる昔ながらに管理された水田の
残っている里地に生息する。」
分布 平野部の細流で流れのほとんどない泥底10地点で分布を確認した。
現状 現在の県内の生息地も断続的で、採集個体数も少ない。減少傾向にある。
危険性・絶滅の要因 河川改修や圃場整備により流れが穏やかな泥場の生息地が激減し、農薬使用や
生活排水流入によって生息環境も悪化している。水田などに侵入して産卵するという繁殖行動をするため、
圃場整備によって水田との行き来が制限されたり、休耕田が増加したりすることは、本種の繁殖に大きな
影響を与える。
なお、香川県内に限らず一般的などじょうの生態については、次の資料が参考になると思われる。
・『日本の淡水魚 改訂版』(川那部浩哉・水野信彦・細谷和海/編・監修 桜井淳史/ほか写真
山と渓谷社 2001年) 〔当館請求記号:4875 K2 2-3〕〔配架場所:一般資料〕
ドジョウ科の章(378~401頁)
・『日本の淡水魚類-その分布、変異、種分化をめぐって』(水野信彦・後藤晃/編 東海大学出版会
1987年) 〔当館請求記号:4875 M4〕〔配架場所:一般資料〕
第Ⅱ部日本の淡水魚類 Ⅱ-1純淡水魚 ドジョウ類の分布と分化-系統発生的アプローチ(52~60頁)
- 回答プロセス
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郷土料理ということで、食文化に関する多くの郷土資料にどじょう汁を扱っているが、調査した資料の記述内容は似通っていて、
記述の点において「詳しい歴史」の比較検討ができなかった。
県内のどじょうの生態については、「香川県カテゴリー:絶滅危惧Ⅱ類(絶滅の危機が増大している種)ということで、
『香川県レッドデータブック-香川県の希少野生生物』に比較的詳しい記述があり、この記述を中心に回答した。
(当館関連事例)
・自由研究でどじょうについて調べたい(小学校低学年)
https://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000069838
- 事前調査事項
- NDC
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- 食品.料理 (596 8版)
- 脊椎動物 (487 8版)
- 参考資料
- キーワード
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- どじょう汁
- どじょううどん
- どんじょ汁
- 香川県
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 夏休み定番事例
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000069952