レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2008/03/26
- 登録日時
- 2008/11/13 02:11
- 更新日時
- 2008/12/28 09:05
- 管理番号
- 埼熊-2008-002
- 質問
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未解決
中村草田男の「降る雪や明治は遠くなりにけり」という句について。堀辰雄が昭和8年頃の改造社の座談会で、「この句は、志賀芥子(カイシ)の『獺祭忌(ダッサイキ)明治は遠くなりにけり』の剽窃(ヒョウセツ)ではないか。」と述べた。その座談会のことが載っている「堀辰雄全集」を探している。
- 回答
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中村草田男の剽窃問題に関する記述は何点かあったが、堀辰雄が剽窃問題を指摘したという記述がある資料は見つからなかった。
- 回答プロセス
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自館目録および《NDL-OPAC》で『堀辰雄全集』の内容細目を見るが、特定できなかった。
《Google》を〈獺祭忌 & 明治は遠く & 芥子〉で検索すると、多数のサイトにヒットしたが、キーワードに〈堀辰雄〉を加えるとヒットしなかった。
『堀辰雄全集』(新潮社)『堀辰雄全集』(角川書店)『堀辰雄全集』(筑摩書房)にはいずれも該当する記述はなかった。
剽窃問題が取り上げられていた資料は雑誌記事を中心に以下の通り。
『国文学 解釈と鑑賞 昭和44年1月』
「『明治は遠くなりにけり』の俳句」(中村草田男)の項 p14に「私の作品の方がそれより以前に創られたものであり…」との記述あり。
『俳句シリーズ・人と作品11 中村草田男』p131に「盗作という人が最近あるが…ナンセンスだ」との記述あり。
『昭和秀句 1』p126に「昨今、この句の発表前に、志賀芥子という無名の少年俳人の作で…、同巣同類の句や否やでちょっとした話題をよんだのである」との記述あり。
『俳句 1980年10月臨時増刊 中村草田男読本』
「中村草田男文献解題」の章 p443-444「昔は遠くなりにけり」(孝橋謙二 「萬緑 昭和37年6月号」)に、「『降る雪や明治は遠くなりにけり』と『獺祭忌…』との類句問題について、『獺祭忌』が仮に先行したとしても『降る雪や』ではじめて我々の空想を刺激し我々の心をはるかなる所へ運んでくれるもので、これが言葉というのものの秘密であり詩の形成される機微である。この秘密と機微とを成り立たせるものは詩人の心と技術であるという。また草田男の句『夕桜城の石垣裾濃なる』と『山ぎはの霞やすそごあさ緑 宗祗』を対比して、深く読んでいる草田男の記憶力に驚くと書く。」という記述あり。
また、p444「俳句に関するア・ラ・カ・ル・ト」(磯貝碧蹄館 「萬緑 昭和37年8月号」)に、「赤城さかえの『草田男の犬』(『俳句人 昭和22年11月号』)を引いて草田男句を鑑賞し、『降る雪や』の句と『獺祭忌』の類作云々に言及、季題に対する一般の認識の浅さを言及する。」という記述あり。
『近代雑誌目次文庫』
「俳句研究」(改造社)1巻1号(昭和9年3月号)~3巻12号(昭和11年12月号)の目次には該当なし。『俳句研究』のうち創刊号からの所蔵分を確認するも該当なし。
『雑誌「改造」の四十年』
目次総覧があり。確認するが昭和6年1月号~昭和10年12月号の目次には該当なし。
『改造目次総覧執筆者索引』
堀辰雄の著作は7件あるが、該当作品なし。
- 事前調査事項
- NDC
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- 詩歌 (911 9版)
- 参考資料
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- 『堀辰雄全集』(新潮社 1964)
- 『堀辰雄全集』(角川書店 1964)
- 『堀辰雄全集』(筑摩書房 1978~80)
- 『国文学解釈と鑑賞 昭和44年1月号』(至文堂)
- 『俳句シリーズ・人と作品 11 中村草田男』(桜楓社 1973)
- 『昭和秀句 1(日本秀句 7)』(春秋社 1963)
- 『俳句 1980年10月号臨時増刊 中村草田男読本』(角川書店)
- 『近代雑誌目次文庫 17』(ゆまに書房 2000)
- 『雑誌「改造」の四十年』(光和堂 1977)
- 『改造目次総覧(執筆者索引)』(改造社 1972)
- キーワード
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- 俳句
- 中村 草田男(ナカムラ クサタオ)
- 堀 辰雄(ホリ タツオ)
- 剽窃
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000048912