レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2006/6/30
- 登録日時
- 2007/10/30 02:11
- 更新日時
- 2021/02/25 16:22
- 管理番号
- 児童-2007-02
- 質問
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長野県の伝説に「つつじのおとめ」という話がある。また、「つつじのむすめ」という題の同じような話があるが、どちらが本物なのか。
- 回答
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都立図書館DBで検索すると、<つつじのおとめ>で5件、<つつじのむすめ>で5件ヒットする。これらの資料、および分類388の書架にある長野県の民話・伝説の資料を調査した。
長野県の伝説「つつじのおとめ」は、毎晩娘が餅を持って男のもとを訪れる。家を出る時両手に米を握りしめ、遠い山を越えてくると、餅になっているという。男は女を怪しみ、ある晩ついに女を崖に突き落とす。その時ほとばしった血が、真っ赤なツツジとなって咲く、という話である。
結論としては、同じ伝説を元にしたものと思われる。伝説を再話し、文章に起こし、若干の創作を入れる過程で、違う題名と語り口になっていくので、どちらが本物というものではないと考えられる。
最も古い採録は、1918年刊の資料1に収められた「血潮の躑躅」で、小県郡神科村大字山口の伝説で、出典として「上田地方の口碑『宮川氏記』」とある。出典の「宮川氏記」については調査したが不明だった。
資料2『信州の伝説』(1941年刊)には、「躑躅の乙女」(小県)があり、ほぼ同じ話が収められている。
資料3~5は、どれも資料2を出典として再話されたもので、それぞれ「つつじの乙女」「ツツジのむすめ」「つつじの乙女」という題名になっている。資料6の「つつじの娘」には、出典が明記されていないが、資料2と同じ出典と思われる。上記の話は、いずれも地名から信濃の伝説であることがわかる。
資料7の「つつじのむすめ」は、民話を下敷きにした松谷みよ子の創作であり、明確な地名は入っていない。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 伝説.民話[昔話] (388 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】 日本伝説叢書 信濃の巻 / 藤沢衛彦∥編著 / 日本伝説叢書刊行会 , 1917 <Y/Y8955// >
- 【資料2】 信濃の伝説 / 村沢武夫∥著 / 山村書院 , 1941 <3881/504/1>
- 【資料3】 信濃の民話 / 未来社 , 1974 ( 日本の民話 第1 ) <K/388.1/143/1>
- 【資料4】 長野県の民話 / 偕成社 , 1981 ( ふるさとの民話 第24 ) <388/366/24>
- 【資料5】 松谷みよ子の本 9 伝説・神話 / 松谷みよ子∥著 / 講談社 , 1995.10 <K/918/マ3/301-9>
- 【資料6】 新選信濃の民話集 : 民話でつづる愛のものがたり / はまみつを∥著 / 郷土出版社 , 1989.8 <388/3066/89>
- 【資料7】 つつじのむすめ / 松谷みよ子∥文 / あかね書房 , 1974 ( 新しい日本の絵本 8 ) <E/マ159/21>
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- その他
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000038511