レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2005/11/16
- 登録日時
- 2006/03/10 02:11
- 更新日時
- 2007/03/04 11:14
- 管理番号
- 都立図事-2005004438
- 質問
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「へそが茶をわかす」という言葉の、意味と出典が知りたい。
- 回答
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■意味
資料1:「へそが茶を沸かす」の項による。
おかしくてたまらない、また、ばかばかしくてしかたがないたとえ。多くあざけりの意をこめて用いる。
資料2~6もだいたい同内容の説明文。
資料7:p.219~220 大笑いしてへそのあたりが大きく揺れるさまを、茶釜の湯が沸騰するさまに見立てておもしろおかしく表現したもの、とあり。
資料8:p.118 「臍が縒(よ)れる」の項に「臍で[が]茶を沸す」があり、「臍のあたりが笑い捩(よじ)れて茶が沸くほど熱くなる」、との意味あり。
他には、「へそで茶を焼(た)く」「へそがくねる」「へそが西国(さいこく)する」「へそが入唐(にっとう)渡天(とてん)する」「へそが宿替(やどが)えする」「へそが笑う、へそで笑う」いう言い方もある。
■出典
資料1:用例として、浄瑠璃『前太平記古跡鑑(ぜんたいへいきこせきかがみ)』(1774)、『譬喩尽』(1786)、歌舞伎『盲長屋梅加賀鳶』(1886)などがあがっている。
資料2:用例として『糸桜本町育(いとざくらほんちょうそだち)』があがっており、資料9によると、安永6年(1777)初演とあり。
資料6:p.275に、『譬喩尽』の例の他に、〔役者三津物・京〕と〔六あみだ詣初・下〕の用例あり。資料10のp.757に、『役者三津物(やくしゃみつもの)』は享保19年(1734)成立とある。また、資料11のp.171に、滑稽本『六あみだ詣(ろくあみだもうで)』の項があり、初編の成立が文化8年(1811)とある。
これらの用例の中では、『役者三津物』の1734年が一番早いことになる。
『役者三津物』は『歌舞伎評判記集成 10』(資料12)p.477-544に収録されている。「役者三津物(京)」の中、立役者之部の澤村長十郎の中に、「…いつもかはらぬ古格とは、イヤハヤ臍が茶をわかす。…」(p.486)と出てくる。
資料3~5、7、8には、用例の資料名なし。
[google]で<へそ×茶×沸かす×出典>をキーワードとして検索すると、資料2の用例『糸桜本町育』が出典として紹介されている。(最終検索日:2005.12.8)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 辞典 (813 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】 日本国語大辞典 第11巻 はん-ほうへ / 小学館国語辞典編集部∥編集 . 第2版 / 小学館 , 2001.11 R/813.1/5020/11
- 【資料2】 新編故事ことわざ辞典 / 鈴木棠三∥編著 / 創拓社 , 1992.8 R/8134/3009/92
- 【資料3】 大きな活字の新明解故事ことわざ辞典 / 三省堂編修所∥編 / 三省堂 , 2004.6 R/813.4/5012/2004
- 【資料4】 故事・俗信ことわざ大辞典 / 尚学図書∥編集 / 小学館 , 1982.2 R/8134/17/82
- 【資料5】 大きな字の故事ことわざ辞典 . 改訂新版 / 学習研究社 , 2004.10 R/813.4/5016/2004
- 【資料6】 角川古語大辞典 第5巻 ひ-ん / 中村幸彦∥[ほか]編 / 角川書店 , 1999.3 DR/8136/16/5
- 【資料7】 からだことば辞典 / 東郷吉男∥編 / 東京堂出版 , 2003.4 R/814.0/5029/2003
- 【資料8】 これは使える「体ことば」辞典 / 講談社辞典局∥編 / 講談社 , 2000.3 ( 講談社ことばの新書 ) /814.4/5004/2000
- 【資料9】 国書総目録 第1巻 あ-お . 補訂版 / 岩波書店 , 1989.9 R/0251/3002/1
- 【資料10】 国書総目録 第7巻 ふ-よ . 補訂版 / 岩波書店 , 1990.9 R/0251/3002/7
- 【資料11】 国書総目録 第8巻 ら-ん・叢書目録・補遺 . 補訂版 / 岩波書店 , 1990.11 R/0251/3002/8
- 【資料12】 歌舞伎評判記集成 第10巻 / 歌舞伎評判記研究会∥編 / 岩波書店 , 1976 /7742/13/10
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000027683