Description de l'Egypte, ou, Recueil des Observations et des Recherches qui ont
ete faites en Egypte pendant l'Expedition de l'Armee Francaise.
Publie par les ordres de Sa Majeste L'Empereur Napoleon Le Grand.
Paris: L'Imprimerie Imperiale, 1809-22.
1798年、ナポレオンはイギリス軍のインド交通路を絶つため、エジプトを植民地化すべく侵攻を行った。
その際、軍隊とは別に総勢150人以上の学術調査団を組織して同行している。調査団は、古代の遺跡をはじめ動植物・地質・水質・地理などあらゆる事象の記録を行った。
また、住民たちの服装・体型・音楽・職業・生活様式・風習・度量単位・貨幣の研究もなされ、古代および当時代において観察しうるすべてのものが記録されたのであった。
しかしながら、フランス艦隊はネルソン率いるイギリス艦隊にアブキル湾の戦いで敗れ、その後も敗退を余儀なくされた。
イギリスがフランスに示した降伏条件は、学術調査団がエジプトで採集した遺品と調査資料の譲渡であったので、ロゼッタ・ストーンをはじめ多数の彫像やミイラがイギリスに渡り、現在は大英博物館に収められている。
しかし、調査資料は死守されたため『エジプト誌』となって後世に残されることになった。
『エジプト誌』の刊行は1809年から始まり14年間を費やし、全23巻894葉にもおよぶ大事業となった。
ナポレオンが失脚し王制復古となっても、ルイ18世のもとで国家的事業として継続され、フランスの出版史上最大の企てと評価されている。
内容は「古代篇」「現代篇」「博物篇」「地図篇」に分かれ、古代篇および博物篇には色刷り手彩色仕上げの図版がある。
特に、鳥類および化石鉱物の図版はすばらしく、当時の技術水準の高さを垣間見ることができる。