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レファレンス協同データベース事業
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平成24年度 寄稿「レファレンス協同データベースを大学の演習で使ったらWin-Winになりました」

(平成24年9月7日配信)

 レファ協サポーターのお一人、近大姫路大学教育学部専任講師 岡部晋典先生が、レファ協の大学の授業での活用事例についてご寄稿くださいました!


 こんにちは。近大姫路大学教育学部専任講師の岡部と申します。

 レファレンス協同データベースを図書館学教育現場でどうやって活用しているか、その結果どうだったか?ということを書いてください、と事務局ご担当者様から依頼をいただきました。 実施初年度の手探り状態とはいえ、レファ協を教育現場で活用すると大変おもしろく便利だったので、この原稿を書いています。 言い方をかえると、レファ協を使ったら学生の理解度を高められたし、そして同時に授業準備の作業量が減少した、という報告です。

 結論から先に書いておくと「レファ協を使わない手はない!」です。

 岡部は本年度より同志社大学の京田辺キャンパスにて嘱託講師として司書課程を出講させていただいていますが、 情報サービス演習-1(司書課程旧カリキュラムにおける情報検索論に相当)にてレファ協の演習を行なってみました。 もちろん、図書館概論やサービス論といった、それ以外の科目でも使えそうな手応えはありましたが、この記事では省略します。

 講義でレファ協を用いると、3つの大事なポイントが容易に得られると思います。 逆を言えば、レファ協を使わないとこのポイントを限られた時間内で押さえるのはなかなかむずかしいかもしれません。

  1. 学生は、どのようにレファレンスを行えばいいか、回答の方法を簡単に理解できる
  2. 面白い&すごいデータをレファ協&各地の図書館が持っていることを知った学生は、必ずしも司書にならなくとも、きっと将来、図書館のいい利用者・支援者になってくれる(かもしれない)。
  3. 講師は楽をしながら、かつ(こういってはなんですが)クオリティの高い演習ができる

 以降、体験談を書きます。

 レファ協のことは既によく知ってました。面白いサービスですし、講義でのネタ探しに使うこともしばしばです。 空き時間に適当にブラウジングしていると時間があっという間に経ってしまいます。 一世を風靡した雑学系TV番組にも通底する、とにかく知識を仕入れる楽しさを持っているサービスだと思っています。 でもなかなか初学者&図書館外の人たちは知らない。 なんてもったいない!なんて義憤や公憤とともに、今年こそ講義で使ってやろうと決意したわけです。

 利用したのは「レファ協研修環境」です。これなら実際の運用データに影響を与えないけれど、雰囲気はよくわかる。

 こういってはなんですが、実は研修環境の利用申請時に緊張しました。 もちろんレファ協フォーラム等を通じてレファ協のいわゆる中の人たちがフレンドリーな人たちばかりとは知っていましたが、 ndl.go.jpのメールアドレスに公式に依頼というのはなかなかハードルが高いように勝手に思い込んでおりました。 が、申請してみると、即座に大変親切なメールとともに研修環境のID、パスワードが送られてきて、拍子抜けしてしまいました。

 演習では有料、無料のさまざまなデータベースを使って、ややこしい調査を毎回行わせました。毎回、4、5問の回答を義務付けました。

 講義初回時には、レファ協のいくつかのサンプルを見せました。 「ほら、こうやって記述するんだよ」「この事例なんかすごいよね。回答プロセスがきっちり書かれてるでしょ?なんでだと思う?」

 私の(少ない)経験上、レファレンスについては「答え」そのものを提示すればそれだけでよし、とする学生がやはり相当数いるように思います。 図書館のレファレンスの場合、回答そのものだけでなく回答プロセスも同じかそれ以上に重要で、それが図書館に限らず知の蓄積になっていくのだ、ということは、 口を酸っぱくして言ってみても、なかなか初学者の受講生にはピンとこないようです。これまで岡部は回答プロセスの重要性を伝えるのに四苦八苦していました。

 しかし、何しろ今回はレファ協にあがっている現物データを見せてしまえば百聞は一見に如かず。 同時に、レファレンス関係の演習で半泣きになっていた10年前の学生時代、レファ協があればどれだけよいレポートがかけたことやら、と遠い目をしてみたりしていました。

 学生さんはだいたいにおいてよいレポートを書いてくれました。 そして最終コマでは、「自信のある回答を3問選択し、研修環境にアップロードせよ。自ら調査が不足だと認識した場合、追加調査も可とする」というかたちで演習を行いました。 学期中には「このレポート書くのに7時間かかったんですけど」などと怨念の漂うコメントを受領したりもしましたが、 第一級の水準の回答がいくつもアップロードされ、講師としても大変に満足しました。 満足のあまり、レファ協の中の人に御礼を兼ねた自慢の(?)メールを送ったところ、 「学生のみなさんとってもレベル高いですね!このまますぐにでもレファ協本番環境に入れたくなるような事例ばかりです。」なんて褒められちゃったりも。これを学生に伝えたところ、大喜びされまして、おお、いい循環が起こっているぞ、なんて更にニコニコしてしまいました。

 今回行ったのは、回答プロセスの演習に限りません。 「レファ協のデータを眺めて、あなたが「おもしろい」と思うレファレンス事例を理由とともに記せ」という作問をしたこともあります。

 ある学生はこんなことを書いてきました。

 「バナナの皮でできた絵本があると聞いた。あれば、現物を見たい(高崎市立中央図書館)」
回答プロセスの『…「バナナの皮&絵本」で検索するが、それらしいものは見つけられない。利用者の方の記憶違いかと思い、「バナナの繊維&絵本」で検索すると「ミラクルバナナ」がヒット。…』は、 利用者の覚え違いをカバーし、目的の本を見つけ出すというところに、本を探すプロとしての手腕が表れているように感じました。 咄嗟に「皮」ではなく「繊維」というキーワードを選択する閃きに、流石…!と唸りました。」

 こういった、図書館員の腕の見せ所は、正直言ってなかなか教卓から口頭で伝えるのは難しいものです。

 また、「ツバメが怪我をして飛べないでいる。どうしたらいい?(能代市立図書館)」という事例で 「図書館員はこんなことも回答するんですか!」という素直な驚きの表明や、 「妖怪「絡新婦(じょろうぐも)=女郎蜘蛛」について調べている(同志社大学図書館)」というレファレンス事例には 図書館員の膨大な資料のあたりっぷりに驚き、 さらには国際日本文化研究センターへの照会まで行なっていて凄い、というコメントもありました。 余談ながら後者の事例については、受講生の大学図書館が登録した事例だったようで、より自分のところの大学図書館が身近になってくれると嬉しい限りです。

 司書課程の若手教員が集まると、講義や演習をどうやったらいいか、という情報交換会になることがしばしばです。 より良い授業は多分誰だってやりたい。でも教育経験の蓄積はまだほとんどない。 もちろん、蓄積をお持ちの先生であっても、レファ協を図書館学教育現場に持ち込むのは有益でしょうし、今後の図書館を担う司書を育てる意味でも、 多分必ずどこかの科目では触れなきゃならないとも思います。 でもそれ以上に、毎日、四苦八苦し手探りで講義を組み立てている若手教員にとって、レファ協はもはや調べ物系の科目におけるインフラとなりうる…なんて考えています。 少なくともぼくにとってはそう。

 講義や演習の準備というのは、学生の時には想像もできなかった大変な作業です。 とくにレファレンス関係は暗黙のノウハウが重要な位置を占めていますが、それを教卓という場で一から言語化し、伝達するのは、ものすごくたいへん。 だったら、世の中にはすごく腕のいい図書館員が作ってきた資料群が既にあるんだから、それに乗っからないのは損でしょう。だって車輪の再発明をする必要なんてどこにもないんですから。 結果として、いつもよりも授業準備で自分はおそらく楽をしながら、受講生の理解度&満足度はとっても高い、といったことになりました。みんなハッピーでいいですね。

 本稿では、いくつか出題例を出してみました。出題方法等パクリ上等。ぜひシェアしましょう。 加えて、レファ協を使ったいい出題方法等ありましたら、ぜひとも私にも教えてください。

 なんだか授業準備の手抜きの報告を自慢しているように自分でも思えてきましたが、 演習が面白かったからといって、ちょくちょく夏季休暇中でも受講生からメールが来るようになりました。 その返信の手間を考えると労力としてはトントンかもしれません。




【※本記事の内容は、原則として寄稿時点(平成24年)のものです】

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