レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20101216
- 登録日時
- 2011/05/19 02:00
- 更新日時
- 2016/10/20 15:39
- 管理番号
- K101122200321
- 質問
-
解決
昭和50年代に長崎県壱岐で行われていたイルカの捕獲に関する補助制度について調査をしております。
制定された機関、制定の目的、制度の具体的な内容(補助金の総額等)等、制度についてご教示いただけませんでしょうか。
昭和55年04月09日の衆議院外務委員会議録14号 に以下のような発言があります。
発言内で示されている、イルカ一頭の捕獲に対して一万円、粉砕機購入の二分の一の補助を長崎県が行っているというものが調査中の制度かと思われるため、詳細を知りたく存じます。
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【○谷口委員 ~非常に長崎県としても重要視している問題であります、したがいまして、御承知のように、捕獲した場合一頭について一万円というお金を県が補助しているわけですね。また、破砕して肥料に充てるというために機械を購入したのを二分の一補助している。こういうふうな問題がありますし、五十三年度には大体二千頭を超える分が捕獲されたし、五十四年度は約三千頭が捕獲されたわけですね。これの被害が、私も現地をよく知っておりますが、とにかくイルカがたくさんおりますともう漁獲はゼロに等しいわけです。たとえば魚をつり上げます、ブリでもつり上げますと、途中で胴体がちぎれて頭だけ上がってくる、こういうことすら再々あるわけですね。したがいまして、大体五、六百隻が操業しておるわけですが、被害額は大体六億か七億くらい見込まれるわけです。~】
国立国会図書館データベース「国会会議録検索システム」http://kokkai.ndl.go.jp/
昭和55年04月09日 衆議院外務委員会14号 発言番号240 発言者:谷口是巨 より抜粋
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また、長崎県水産部ホームページ「ゆめとびネット」(https://www.pref.nagasaki.jp/suisan/)「長崎県水産部のあゆみ」昭和時代(その2 ~1970年代)に
「昭和53年7月4日 長崎県有害水産動物対策事業補助金交付要綱を制定(長崎県イルカ駆除対策事業報償金交付要綱廃止)した。」
という記載がありますが、外務委員会で発言されている補助制度にあたるものでしょうか。
外務委員会の発言との関連等、詳細を知りたく存じます。
本依頼と同内容について、長崎県水産部魚政課に問い合わせたところ、昭和53年度と54年度の「長崎県水産行政の概要」を教えていただきましたが、概要のみで詳細については知ることができませんでした。
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昭和53年度 長崎県水産行政の概要
「有害水産動物(イルカ、ヒトデ及びクラゲ)対策」
53年度 28,150千円
本件沿岸の魚続をイルカの食害から保護するため、本年度も引き続きイルカ対策事業を実施する。
また、漁場の操業条件を悪化させる異状発生のヒトデ、クラゲの除去についても対処する。
(昭和54年度もほぼ同じ内容)
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『長崎県大百科事典』(長崎新聞社長崎県大百科事典出版局編 長崎新聞社 1984.8)p.840「有害水産動物」の項目には
「国は1976(昭和51)年7月、漁業公害対策事業要領等を各都道府県に通達した」
とあり、長崎県でも壱岐のイルカに対して事業が行われたようです。
「長崎県水産行政の概要」にある「有害水産動物(イルカ、ヒトデ及びクラゲ)対策」にあたると思いますが、詳細については見つけることができませんでした。
国が通達した漁業公害対策事業要領について官報、『環境白書』環境庁編. 大蔵省印刷局, 1973 (昭和47年~49年、52年、54年~56年)を確認しましたが、見つけることができませんでした。
官報の検索より「漁業公害対策基金」、「漁業公害対策費補助金」を見つけましたが、これも調査中の制度に関連する対策なのでしょうか。
補助の制度についてお分かりのことがございましたら、ご教示いただけませんでしょうか。
- 回答
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昭和50年代に長崎県壱岐で行われていたイルカの捕獲に関する補助制度について回答します。(【 】内は当館請求記号です。)
県の制度の根拠となるのは「長崎県有害水産動物対策事業補助金交付要綱」であり、資料1に掲載されています。この要綱には事業の目的や補助金についての記載があります。この要綱がお問い合わせの昭和55年4月9日の衆議院の外務委員会議録第14号で発言されている補助制度にあたるかどうかは不明ですが、同要綱の第2条第1項で、補助金額を「捕獲頭数1頭につき、5,000円(捕獲したイルカについて、陸上埋没等、特別な処理が必要な場合は、1頭につき、5,000円加算)」と規定しています。
国の制度の根拠となるのは「漁業公害対策事業実施要領」であり、資料2に掲載されています。この要領には、目的や事業の内容の記載があります。 また、運用については資料3に掲載されています。
長崎県の「イルカ駆除予算」については、資料1のほか、資料4に記載があります。
そのほかの参考情報が記載されている資料として、資料5と資料6を紹介します。
県の助成については、資料5に県と町と漁業協同組合の駆除助成金の金額が紹介されています。また、壱岐の漁業協同組合のうちのひとつである勝本町漁業協同組合作成の資料6に、イルカとの取り組みの歴史が記されています。この資料には部分的に県の補助や国の補助についても記されています。
なお、官報情報検索サービスで貴館が見つけられた「漁業公害対策基金」と「漁業公害対策費補助金」については、官報掲載日やページが未記入でしたので内容が確認できませんでした。現在当館では官報情報検索サービスを導入しておりませんので、データベースによる確認はできません。
(資料)
1.長崎県公報. -- 長崎県, [19--]-2009 【CZ-1112-119】
昭和53年7月4日
pp.775-781 「昭和53年長崎県告示第515号
昭和53年7月4日 長崎県有害水産動物対策事業補助金交付要綱」
2.基本行政通達 / 基本行政通達編集委員会. -- 帝国地方行政学会, 1974-〔2000〕 【CZ-311-1】
61巻
pp.8677-8684 「漁業公害対策事業実施要領
昭和51年7月24日 51水件第868号 農林事務次官依命通達」
(平成2年6月7日改正分まで加除済み)
3.基本行政通達 / 基本行政通達編集委員会. -- 帝国地方行政学会, 1974-〔2000〕 【CZ-311-1】
61巻
pp.8684-8695・11 「漁業公害等対策事業実施要領の運用について
昭和51年7月24日 51水件第880号 水産庁長官通達」
(平成2年6月7日改正分まで加除済み)
4.ながさきの水産 / 長崎県水産部. -- 長崎県水産部, 1988年【Z43-1260】
「第15章漁業公害」
p.183 15-1表「漁業公害等対策事業」
*ヒトデ、イルカの駆除のための事業の総事業費が、昭和51年度から昭和60年度まで掲載されています。
pp.187-188 15-4表「イルカ駆除対策事業」
*県が各漁業協同組合に対してイルカの駆除及び処理等のために必要な経費について行った補助の金額が、昭和51年度から昭和60年度まで掲載されています。
5.読売新聞 東京 1978年5月4日 マイクロフィルム【YB-41】
昭和53年(1978年)5月4日 読売新聞 3面
「イルカ救うか 人間生かすか― 壱岐漁民は叫ぶ」
6.勝本町漁業史. -- 勝本町漁業協同組合勝本町漁業史作成委員会, 1980.12 【DM615-135】
pp.411-436 沿革編 第四章 イルカと漁業
内容:1.イルカによる被害 2.イルカとの対決 3.イルカ捕獲までの道のり 4.追い込み成功 5.壱岐郡イルカ対策協議会発足 6.国の対応
7.イルカ食害対策経過措置 8.イルカ余話 9.イルカ裁判
(調査済み資料)
・勝本町史 / 勝本町. -- 勝本町, 1985.2 【GC276-77】
・長崎県議会会議録. 昭和26-30,38-50,52,53年. -- 長崎県議会, 〔1952-1979〕【BZ-119-5】
昭和53年
・長崎農林水産統計年報. 第25次(昭和52~53年) / 九州農政局長崎統計情報事務所. -- 長崎農林統計協会, 1979.2 【DT549-2】
・昭和59年度において沿岸漁業等について講じようとする施策. -- 〔水産庁〕, 〔1984〕 【DM615-42】
・ 昭和58年度において沿岸漁業等について講じようとする施策. -- 〔水産庁〕, 〔1983〕 【DM615-42】
・昭和57年度において沿岸漁業等について講じようとする施策. -- 〔水産庁〕, 〔1982〕 【DM615-42】
・昭和56年度において沿岸漁業等について講じようとする施策. -- 〔水産庁〕, 〔1981〕 【 DM615-42】
・昭和55年度において沿岸漁業等について講じようとする施策. -- 〔水産庁〕, 〔1980 【DM615-42】
・昭和54年度において沿岸漁業等について講じようとする施策. -- 〔水産庁〕, 〔1979〕 【DM615-42】
・昭和53年度において沿岸漁業等について講じようとする施策. -- 〔水産庁〕, 〔1978〕 【DM615-42】
・昭和52年度において沿岸漁業等について講じようとする施策 / 水産庁. -- 水産庁, 〔1977〕 【DM615-42】
・海の哺乳類 / 宮崎信之,粕谷俊雄. -- 増補版. -- サイエンティスト社, 1997.8 【RA571-G133】
・イルカ / 村山司. -- 中央公論新社, 2009.8. -- (中公新書 ; 2018) 【RA571-J68】
・県議会百年の歩み. -- 長崎県議会, 〔1979〕【AZ-1392-97】
・ 図説漁業白書. 昭和51年度 / 水産庁. -- 農林統計協会, 1977.6 【DM615-14】
・ながさきの水産 / 長崎県水産部. -- 長崎県水産部, [19--]-[1988] 【Z43-1260】
1984、1988
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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国立国会図書館データベース「国会会議録検索システム」http://kokkai.ndl.go.jp/
昭和55年04月09日 外務委員会14号 発言番号240 発言者:谷口是巨
長崎県水産部ホームページ「ゆめとびネット」(https://www.pref.nagasaki.jp/suisan/)
昭和53年度「長崎県水産行政の概要」 有害水産動物(イルカ、ヒトデ及びクラゲ)対策
昭和54年度「長崎県水産行政の概要」 有害水産動物(イルカ、ヒトデ及びクラゲ)対策
『長崎県大百科事典』(長崎新聞社長崎県大百科事典出版局編 長崎新聞社 1984.8)p.840「有害水産動物」
- NDC
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000086369