レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20100930
- 登録日時
- 2010/10/21 02:01
- 更新日時
- 2010/10/21 09:38
- 管理番号
- B100922143659
- 質問
-
解決
視力検査に用いられるCに似たマーク「ランドルト環」の考案された経緯を調べています。
ランドルト環はフランスの眼科医エドマンド・ランドルト(Edmund Landolt 1846-1926)によって1888に発表されたもので、1909年にはイタリアの国際眼科学会で国際的な標準指標として採用され、開発者であるランドルト氏名前を冠して呼ばれているようです。国際規格と日本規格があります。
ランドルトが提案した視力の値としては「視力1.0とは直径5分角のリングにおして、1分角の長さの切れ目がみえる状態」とのことですが、このリングに切れ目の形を用いることをなぜ思いついたのか、開発の詳しい経緯がわかる資料はないでしょうか。
当館資料では、辞事典類に簡単な記述があるのみで、詳細はわかりませんでした。
また、ネット上にもランドルト氏が開発したとの記述はたくさん見受けられましたが、詳細はみつけることができませんでした。
- 回答
-
照会事項について回答します。
以下の資料(1)~(3)にお探しの事項に関連する記載がありました(【 】は当館請求記号です)。
(1)「Correlation of optotypes with the Landolt ring--a fresh look at the comparability of optotypes」『Optometry and Vision Science』vo.71,No.1, 1994, pp.6-13【Z53-D618】
視力測定における、Landolt環とアルファベットの見え方の違いを中心に記述した論文です。
pp.6-7に、1862年にSnellenがアルファベット等を用いた視力測定法を考案したが、異なる複数の記号を用いたものではない測定法の必要性から、その後Landoltが新しい測定法を生み出したとの内容が記述されています。
資料(1)は、Höhere Fachschule für Augenoptik Köln(ケルン眼科高等専門学校)のホームページでも、全文閲覧可能です。
http://www.hfak.de/download/Correlation_of_Optotypes_with_the_Landolt_Ring.pdf
(2)「THE ANNUS MEDICUS 1899. : Medicine」『The Lancet』 Volume 154, Issue 3983, 30 December 1899, Pages 1819-1849
p.1826に、Snellenが考案したアルファベット等による視力測定法とは違って、Landolt環を用いた視力測定法は、文字が異なる様々な国でも用いることができる利点が挙げられています。資料(2)は、当館契約データベースのScienceDirectで本文の閲覧が可能です。
(3)「Measuring Vision and Vision Loss」『Duane's Clinical Ophthalmology』vol.5, 2001年版, Chapter 51
pp.9-10に、1874年~1888年の出来事が記述されています。1874年に、SnellenとLandoltが、視力測定に関する論文を発表し、その中でSnellenが考案したアルファベット等による視力測定法では、公平な測定ができない問題点を指摘をし、そのことが、単一の記号Landolt環を用いた視力測定法を生み出すきっかけとなったとの記述があります。
資料(3)は、The Smith-Kettlewell Eye Research Institute のホームページで閲覧可能です。
http://www.ski.org/Colenbrander/Images/Measuring_Vis_Duane01.pdf
インターネットの最終アクセス日は2010年9月28日です。
その他の調査済資料・データベース
・『眼科検査法ハンドブック』医学書院, 2005.6【SC631-H24】
・『図解眼科検査法』金原出版, 1976【SC634-5】
・『Who's who in science in Europe : a biographical guide in science, technology, agriculture, and medicine』Longman, 1993【M12-A20】
・当館契約データベースのCSA Illumina
・当館契約データベースのWeb of Science
・当館契約データベースのJ-DreamⅡ
・当館契約データベースの医中誌Web
・当館契約データベースのOCLC ECO
・CiNii(http://ci.nii.ac.jp/)
・PubMed(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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『最新医学大辞典』第3版.医歯薬出版.2005.
『医学書院医学大辞典』.医学書院.2009.
『医学大辞典』南山堂.2006.
『医科学大事典 48』講談社.1983.
『眼の事典』朝倉書店.2003.
『今さら聞けない科学の常識』講談社.2008.
『メガネとコンタクト』日本工業新聞社.1988.
- NDC
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- 論文集.評論集.講演集 (404)
- 参考資料
- キーワード
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- ランドルト環
- 視力検査
- Edmund Landolt
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000072593