レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2008/07/09
- 登録日時
- 2009/05/01 02:11
- 更新日時
- 2009/05/01 09:50
- 管理番号
- B2008M0950
- 質問
-
解決
井戸泰・元九州大医学部第一内科教授(1881~1919年)による研究論文(稲田龍吉氏と大正5年に恩賜賞を共同受賞した際の研究論文(論題「黄疸出血性スピロヘーテ病に関する研究」)及び大正8年に九州帝国大学医科大学から医学博士の学位を授与された際の論文「ワイル氏病病原体ノ発見報告」の本文)を探しています。
- 回答
-
1.稲田龍吉氏と大正5年に恩賜賞を共同受賞した際の研究論文(論題「黄疸出血性スピロヘーテ病に関する研究」)について
『醫學中央雜誌』(医学中央雑誌刊行会 【Z19-510】)の通号90号(明治43年7月)~271号(大正7年2月)、通号280号(大正7年6月)~321号(大正9年3月)の目次・索引を確認しましたが、同タイトルの論文の情報は見当たりませんでした。詳細は以下をご覧ください。
※通号272号~299号は当館未所蔵です。通号280号~299号までは通号300号に総目次索引が付されていたため、論文タイトルと著作者のみの確認はできました。
Webcat Plus ( http://webcatplus-equal.nii.ac.jp/libportal/HolderList?txt_docid=NCID%3AAN00064088 ) の情報によると、お近くの図書館では広島大学図書館・霞図書館や島根大学附属図書館・医学分館など数館が272号~299号を所蔵しているようです。
なお、恩賜賞は特定の論文に対してではなく、研究に対しても授与されるようです。
日本学士院ホームページ内に、歴代受賞者一覧のページがあります。
( http://www.japan-acad.go.jp/japanese/activities/jyusho/001to010.html#anker006 )
・『醫學中央雜誌』通号230号(大正5年5月20日)に、''帝国学士院受賞決ス''と題して、以下のとおり稲田龍吉と井戸泰両氏の恩賜賞受賞が決定した旨の記述がありました。
''帝国学士院ニテハ~(中略)~左ノ両氏其選ニ当ラレタリ恩賜賞 医学博士 稲田龍吉 井戸泰
(黄疸出血性「スピロヘータ」病ニ関スル研究ニ対シ恩賜賞一個ヲ等分ニ授与)~(略)''(p.1523)
・同誌通号232号(大正5年6月20日)に、''恩賜賞論文''と題して、稲田龍吉・井戸泰共著論文に対する帝国学士院の審査の要旨が掲載されています。(pp.1655-1656)
・同誌通号234号(大正5年7月20日)に、''帝国学士院授賞式''と題して、7月2日に稲田博士、井戸学士が授賞した旨の記載があります。
以上の3点の記載の中に、恩賜賞受賞の対象となった論文の書誌事項は記載されていませんでした。確認した号中に書誌情報・抄録等の記載のあった''黄疸出血性スピロヘータ''あるいは''ワイル氏病''に関する井戸泰氏と稲田龍吉氏の共著論文を以下に示します。
※項番の上に記載されているページ数は抄録が掲載されている『醫學中央雜誌』のページです。
※[ ]内の記述は、収録雑誌の現物から確認できた掲載ページと補足事項です。
・同誌通号219号(大正4年12月5日)
p.709
(1) 「ワイル氏病々原体一新種すぴろへーた発見概括報告」 医学博士 稲田龍吉、医学士 井戸泰(福岡)。東京医事新誌第1908号(大正4年2月)[p.351-360]
p.710
(2) 「日本黄疸出血性すぴろへーた病(所謂ワイル氏病、熱性黄疸等)ノ病原報告(第二回報告)」 医学博士 稲田龍吉、医学士 井戸泰(福岡)。東京医事新誌第1920号[p.979-986]、1921号[p.1031-1037](大正45月)
p.711
(3) 「千葉県下ノワイル氏病々原ニ就テ 附 日本黄疸出血性すぴろへーたナル名称の羅句訳語訂正」 医学博士 稲田龍吉、医学士 井戸泰(福岡)。 医海時報第1090号(大正4年5月)[p.863-864 ※附属資料は添付されておりません。また本文も東京医事新誌に収載されているものより簡潔にまとめてあります]。東京医事新誌第1926号(6月)[p.1301-1309]
p.711
(4) 「日本黄疸出血性すぴろへーた病病原報告」 医学博士 稲田龍吉、医学士井戸泰(福岡)。日本内科学会雑誌第3巻第3号(大正4年6月)[p.141-145]
p.714
(5) 「日本黄疸出血性すぴろへーたノ進入経路ニ就テ 附 日本黄疸出血性すぴろへーた病ノ潜伏期及予防法」 医学博士 稲田龍吉、医学士 井戸泰、同 法貴六郎(福岡)。九州帝国大学医科大学集談会演説(大正4年2月)。日本内科学会雑誌第3巻第3号(6月)[p.138-141 ※ただし、著作者は井戸泰、法貴六郎のみとなっており、附属資料も添付されておりません]。医事新聞第932号(8月)[p.1081-1093]
p.715
(6) 「日本黄疸出血性すぴろへーた病(所謂ワイル氏病、熱性黄疸等)ニ関スル動物試験報告」 医学博士 稲田龍吉、医学士 井戸泰、同 法貴六郎(福岡)。日本内科学会雑誌第3巻第3号(大正4年6月)[p.129-133※「第12回日本内科学会総会演説」と併記されています]。中外医事新報第852号(9月)[p.1175-1192]
p.718
(7) 「日本黄疸出血性すぴろへーたノ純粋培養」 医学博士 稲田龍吉、医学士井戸泰(福岡)。第59回九州医科大学集談会演説(大正4年6月)。細菌学雑誌第239号(9月)[p.621-635 ※ページ数の記載はp.632までしかありません。]
・同誌通号240号(大正5年10月20日)
p.465
(8) 「黄疸出血性すぴろへーた病原因論」 医学博士 稲田龍吉、医学士 井戸泰、 同 法貴六郎、同 金子廉次郎(九大)。日新医学第五年第一号(大正4年9月)
p.470
(9) 「黄疸出血性すぴろへーた病症状論」 医学博士 稲田龍吉、医学士 井戸泰(九大)。日新医学第五年第一号(大正4年9月)
p.476
(10) 「黄疸出血性すぴろへーた病ノ治療論」 医学博士 稲田龍吉、医学士 井戸泰、 同 法貴六郎、同 伊藤煕、同 和邇秀恒(九大)。日新医学第五年第一号(大正4年9月)
p.478
(11) 「わくちん注射ニヨル黄疸出血性すぴろへーた病ノ予防法実施報告(第一報告) 附 病原体ノ名称及病名ノ訂正」 医学博士 稲田龍吉、医学士 井戸泰、 同 法貴六郎、同 伊藤煕、同 和邇秀恒(九大)。東京医事新誌第1964号 (大正5年3月)[p.633-640]。細菌学雑誌第247号(4月)[現物にあたりましたが、論文は見当たりませんでした。念のため246号(4月)も確認しましたが、同様に
見当たりませんでした。]
p.478
(12) 「黄疸出血性すぴろへーた病ノ血清療法」 医学博士 稲田龍吉、医学士 井戸泰、同 法貴六郎、同 伊藤煕、同 和邇秀恒(九大)。 第13回日本内科学会(大正5年4月)。実験医報第2年第22号(7月) [※『醫學中央雜誌』の書誌情報には記載されていませんが、日本内科学会雑誌第4巻第8号p.441-445に収録されています。]
また、確認した号中に書誌情報・抄録等の記載のあった“黄疸出血性スピロヘータ”あるいは“ワイル氏病”に関する井戸泰氏の論文(稲田龍吉氏との共著論文以外)は以下のとおりです。
・同誌通号219号(大正4年12月5日)
p.716
(13) 「日本黄疸出血性すぴろへーた病ノ排泄経路ニ就テ (附)同研究ニ基ケル日本黄疸出血性すぴろへーた病ノ防防法」 医学士 井戸泰、同 法貴六郎、 同 伊藤煕(福岡)。第58回九州医科大学集談会席上演説(大正4年5月)。 医事新聞第931号(8月)[p.1009-1024]
・同誌通号230号(大正5年5月20日)
p.1480
(14) 「黄疸出血性すぴろへーた病ノ不全型(黄疸ヲ示サザルモノ)ト七日熱トノ 関係ニ就テ」 医学士 井戸泰、医学士 和邇秀恒(福岡)。 第六回日本病理学会(大正5年4月) [※『醫學中央雜誌』の書誌情報には記載されていませんが、日本病理学会会誌6(1916)p.193-197に収録されています。]
・同誌通号240号(大正5年10月20日)
p.466
(15) 「黄疸出血性すぴろへーた病ノ病理及病理解剖」 医学士 井戸泰、 同 金子廉次郎、同 法貴六郎、同 伊藤煕、同 奥田喜久三(九大)。 日新医学第五年第一号(大正4年9月)
p.476
(16) 「黄疸出血性すぴろへーた病ノ予防法」 医学士 井戸泰、同 法貴六郎、 同 伊藤煕、同 和邇秀恒(九大)。日新医学第五年第一号(大正4年9月)
p.477
(17) 「黄疸出血性すぴろへーた病予防法特ニ接種予防法ノ実験的基礎ニ就テ」 医学士 井戸泰、同 法貴六郎、同 伊藤煕、同 和邇秀恒(九大)。 医事新聞第940号(大正4年12月)[p.1657-1666]
p.480
(18) 「黄疸出血性すぴろへーた病ノ病原体保有者タル鼠ト伝染経路トノ関係ニ就テ 附 黄疸出血性すぴろへーた病予防法追加」 医学士 井戸泰、同 法貴六郎、 同 伊藤煕、同 和邇秀恒(九大)。東京医事新誌第1978号[p.1387-1393]、 79号[p.1439-1448](大正5年6月-7月)
p.482
(19) 「黄疸出血性すぴろへーた病ノ不全型(黄疸ヲ示サザル者)ト七日熱トノ関係ニ就テ(学会)」 医学士 井戸泰、同 和邇秀恒(九大)。第13回日本内科学会(大正5年4月) [※『醫學中央雜誌』の書誌情報には記載されていませんが、日本内科学会雑誌第4巻第8号p.429-432に収録されています。]
p.482
(20) 「黄疸出血性すぴろへーたノ純粋培養ニ就テ(学会)」 医学士 井戸泰(九大)。第13回日本内科学会(大正5年4月) [※『醫學中央雜誌』の書誌情報には記載されていませんが、日本内科学会雑誌第4巻第8号p.426-428に収録されています。]
・通号258号(大正6年7月20日)
p.101
(21) 「黄疸出血性すぴろへーて病、(ワイル氏病)治療法ノ実験的研究」 医学士 井戸泰(九大)。福岡医科大学雑誌第10巻第1、2号(大正6年1月) [p.65-88]
・通号266号(大正6年11月20日)
p.677
(22) 「黄疸出血性すぴろへーて病ノ不全型(黄疸ヲ示サヽルモノ)ニ就テ」 医学士 井戸泰、医学士 和邇秀恒(九大)。福岡医科大学雑誌第10巻第1、 第2号(大正6年1月)[p.88-108]
p.677
(23) 「黄疸出血性すぴろへーた病(所謂ワイル氏病)ニ就テ(講演)」 医学士 井戸泰(九大)。岡山医学会雑誌第326号(大正6年3月)[p.297-318]
なお、16巻(通号280号~303号)(大正7年6月~大正8年6月)の総目次索引を確認したところ、以下の通り論文の書誌情報が掲載されているようです。
p.201 「黄疸出血性すぴろへーたノ保有者タル家鼠ニ関スル研究第二回報告」 (井戸泰、法貴六郎、伊藤煕、和邇秀恒)
p.35 「七日熱病原すぴろへーたニ就テ(第二回報告)」(学会)(井戸泰、伊藤煕、和邇秀恒)
2.大正8年に九州帝国大学医科大学から医学博士の学位を授与された際の論文「ワイル氏病病原体ノ発見報告」の本文について
『大日本博士録. 第1-5巻』(発展社 【377.5-D17】)の第3巻を調査したところ、''故医学博士 井戸泰''と題して、井戸泰氏についての項目が掲載されていました。学位請求主論文としては、以下の4タイトルが挙げられています。※a~dの番号はご紹介の都合上追記したものです。
a)ワイル氏病病原体一新種「スピロヘータ」発見概括報告(医学博士稲田龍吉共著)。
b)黄疸出血性「スピロヘータ」病(所謂ワイル氏病、熱性黄疸等)ノ病原報告 (第二報告、医学博士稲田龍吉共著)。
c)黄疸出血性「スピロヘータ」ノ純粋培養(医学博士稲田龍吉共著)。
d)黄疸出血性「スピロヘータ」病(ワイル氏病)治療法ノ実験的研究。
それぞれ、aは上記(1)、bは(2)、cは(7)、dは(21)の論文に該当すると思われます。
上記論文を収載している雑誌は以下のとおり東京本館で所蔵しています。
(1)(2)(3)(11)(18)
『東京医事新誌』(東京医事新誌局〔編〕 【YA5-1091】)
(3)
『医海時報』(原資料の出版事項: 東京 : 医海時報社 【YA5-1232】)
(4)(5)(6)(12)(19)(20)
『日本内科学会雑誌』(日本内科学会 【Z19-222】)
(6)
『中外医事新報』(日本医史学会〔編〕 【Z19-494】)
(7)
『細菌学雑誌』(原資料の出版事項: 東京 : 細菌学雑誌社 【YA5-1243】)
(5)(13)(17)
『医事新聞』(医事新聞社 【雑27-7】)
(14)
『日本病理学会会誌』(日本病理学会〔編〕 【Z19-1213】)
(21)(22)
『福岡醫科大學雜誌』(九州帝國大學醫學部雜誌部 【Z19-86】)
(23)
『岡山医学会雑誌』(岡山医学会 【Z19-269】)
(8)(9)(10)(15)(16)の資料は欠号のため当館では所蔵していません。Webcat Plusの情報によると、国内に所蔵機関があるようです。 (http://webcatplus-equal.nii.ac.jp/libportal/HolderList?txt_docid=NCID%3AAN00184793)
NDL-OPACの最終アクセス日は2008年7月4日です。
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