○観音寺市誌 通史編 観音寺市誌増補改訂版編集委員会/編 1985
※p.970に次の記述があります。
「伊吹島の名前の由来 およそ1200年も昔、弘法大師さんが、神恵院の住職さんでおられたころの話である。
島の近くの海で、まわりが一丈(約3メートル)余り、長さが10丈(約30メートル)余りもある、不思議な光を放つ木が波間に漂っていた。魚は恐れて集まらず、気味悪く思った漁師たちが、何回となくその木をよその方へ押し流したが、また島近くの海に流れてきた。そこで漁師は、このことを大師さまに申し上げた。
お大師さんは、「その木こそ、前々から捜し求めていた仏像彫刻用の木である」とおっしゃって、その霊木を引き揚げさせ、その霊木で薬師如来・聖観音の秘像、その他多くの仏像を刻まれ安置されたといわれている。そして、この島を、不思議な木、すなわち「異木」を引き揚げた島というので、「異木島」と名付けられたのである。その後、異木が訛って「伊吹」となり、伊吹島と呼ばれるようになったという。
また、古老の語り伝えるところによると、島の西浦の浜の沖合いに、海底から原因のわからない泡が吹き出しているところがある。いつのころからか島の人たちは、「大地が息を吹いている」と考え、この島を「息吹(いきぶき)島」というようになった。それが訛って、いつとはなく「伊吹島」と呼ぶようになったともいう。」
○角川日本地名大辞典 37 香川県 「角川日本地名大辞典」編纂委員会/編 角川書店 1985.10
※p.118-119の「伊吹<観音寺市>」の項にも、上記の「観音寺市誌 通史編」と同様な記述があります。
○日本歴史地名大系 38 香川県の地名 平凡社 1989.2
※p.429「伊吹島村」の項に次の記述があります。
「・・・島名の由来は、「弘化録」に「有異木浮海漂、霊光散徹、自海引揚之、
島上古号異木(いぼく)島、後訛為伊吹島」とある。膽吹・気噴・井冨貴などと記した例もある。・・・」
なお、ご参考までに、同じシリーズの「日本歴史地名大系 総索引」で伊吹の項を見ると
全国に次のような「伊吹」とつく地名がありましたので紹介しておきます。
伊吹町(岐阜県)、伊吹町(滋賀県)、伊吹町(愛媛県)、伊吹山(栃木県)、伊吹山(滋賀県)
○伊吹島 IBUKI ISLAND(パンフレット) 観音寺市 [出版年不明]
※「島の名前の由来」に、上記の「観音寺市誌 通史編」と同様な記述があります。
また、「伊吹島民俗資料館」の紹介も掲載されています。参考までに、連絡先をご案内しておきます。
・伊吹島民俗資料館(観音寺市郷土資料館分館) 768-0071 観音寺市伊吹町209-2
伊吹支所 0875-29-2111 FAX 0875-29-2666
・観音寺市郷土資料館 768-0062 観音寺市有明町3-35 0875-25-6001
○伊吹島の民俗 特集号 香川県観音寺市伊吹町 谷原博信,大西浩子/編 香川民俗学会 1991.12
※p.1に「神恵院の弘化録によると、約1200年前、弘法大師にまつわる伝説によって、
「異木島」といわれたとあり、このころある程度の集落が形成されていたように思われる」という記述あり。
○伊吹島の歴史をたどる 伊吹島研究資料叢書 中井幸比古,三好兼光/編 伊吹島研究会 2003.9
※p.46-48に「弘化録」の説明あり。上記の「観音寺市誌 通史編」と同様な記述があります。
○他にも次の資料を確認しましたが「伊吹」の由来に関する記述はありませんでした。
・伊吹島民俗資料館だより 伊吹島民俗資料館運営委員会/編 伊吹島民俗資料館 2004.10
・伊吹島の民俗 漁業を中心として 観音寺市郷土資料館/[編] 観音寺市郷土資料館 [1987]
・伊吹島のことば 教育資料 香川県観音寺市立伊吹小学校/編・発行 1974.10
(ご参考)
「香川県観音寺市・三豊市版ハローページ」で伊吹島の属する観音寺市に「伊吹(いぶき)」という苗字の掲載はありませんでした。